第278話 有翼人(その8)

俺はスラオの魔法で客間に転移し、ハーミアを召喚した。


ハーミア「あ、客間に来た!」


客間には誰もいなかった。


「ブラリリ達は戻って来てないようだね。呼び戻そう。」


(ブラリリ、そろそろ約束の時間になるから皆を客間に召喚するよ。)


ブラリリ(はい。承知しました。召喚しても問題ありません。)


ブラリリ達を客間に召喚した。


監視していた者達は急にブラリリ達が消えてビックリだろうな。


客間に有翼人国宰相ウイグドが迎えに来た。


有翼人国の馬車に乗り王城へ向かう。


有翼人国王城、謁見の間。


宰相ウイグドに付き添っていた兵士が謁見の間の扉を開ける。


有翼人国の国王は1段高い王の椅子には座らず、同じ高さの場所で出迎える。


王は壮年。

金髪。青い目。

太い眉。口髭。

鼻筋が通り整った顔。

穏和な表情。

痩せているが筋肉質の印象。

姿勢が良く確りと立っている。

後ろに二人の有翼人の侍従を従えていた。


王冠を被り、王笏を持つ。

王笏は先端に大きな赤い宝石がついている凝った意匠の杖。

着ているのは宰相と同じロココ調のアビ・ア・ラ・フランセーズ。

赤いコート。

白いのウェストコート。

赤いブリーチズ。

全て豪華な刺繍。

レース風のクラヴァット。

膝丈の白い長靴下。

神々しい白い翼。


謁見の間扉から王のいる場所まで赤く分厚く刺繍の入った豪華なカーペットが敷かれていた。


その両脇を兵士と貴族っぽい人達が整然と並んでいる。


誰も喋る人はいないし物音一つしない。


俺達を注視している。


ウイグド「樹海帝国陛下ヒロト様、アマゾネス国王女ハーミア様、そしてご同行の皆様前にお進みください。」


ウイグドは先導し俺達は王の前に進む。


俺達は国王と向かい合う。


国王ははひざまずいた。


同時に宰相ウイグドと両脇の並んでいる者達も一斉に跪く。


まるで練習した様な、一子乱れず整然とした動作。


というか練習したんだろうね。


必死さが伝わるわ。


ウイグザム「有翼人国へようこそお出でいただきました。、樹海帝国陛下ヒロト様、アマゾネス国王女ハーミア様、そしてご同行の皆様。


私が、有翼人国国王ウイグザムと申します。御尊顔を拝しまして恐悦至極でございます。」


「お顔を上げてください。そしてどうぞお立ちください。」


ウイグザム「有難う御座います。」


ウイグザムは顔をあげ立ち上がる。


他の者は跪いたままだ。


スラオの影からブランデーの木箱を取り出す。


「これはお土産です、樹海帝国最高の一品ですので御堪能ください。」


ウイグザム「おお!開けても宜しいでしょうか?」


「どうぞどうぞ。」


ウイグザムは木箱を大事そうに開ける。


ウイグザム「こ、これは?」


木箱の中には豪華で複雑な意匠の瓶に入った琥珀色の液体。


「ブランデーと言うお酒です。樹海帝国産の最高級のワインから特別な製法で作りました。


大変貴重な物ですので一口舐める程度でお試しください。二度と手に入らない物ですからね。」


ウイグザム「特別な製法?」


「作り方は秘密です。この存在は秘匿してくださいね。一口づつ味をお楽しみにください。」


ウイグザム「承知致しました。それほどの物であれば家宝と致します。大変貴重な物を有難う御座いました。」


ウィーラ(それほどのものなのか?妾も飲んでみたいのじゃ。)


(サクラに聞いてみて、デレイズにあげた30年物のブランデーと言えば分かると思う。)


ウィーラ(ほほう。それは楽しみじゃ。)


(量はあまり無いと思うよ。)


ウィーラ(むむ。少しくらいは飲めるじゃろ。)


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


新作投稿しています。


ぜひぜひ!お読み下さい!!!


タイトルは

『悪逆無道の異世界冒険記』


URLは

https://kakuyomu.jp/works/1177354054893659463

です。


何卒、応援の程、

宜しくお願い申し上げます。

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