第275話 有翼人(その5)

「よし、商店街に向かおう。」


ハーミア「此方こちらです。」


ハーミアに案内されて商店街に着いた。


ハーミア「あそこに見える茶色の小さな店です。」


ハーミアの指差す方を見ると、目立たない小さな道具屋があった。


道具屋の戸を開けて中に入る。


道具屋のカウンターには中年の女性がいた。


こちらを見てビックリしている。

道具屋「誰だ!」


あ、隠蔽魔法中だ。苦笑い。


スラオの隠蔽魔法を解除する。


ハーミア「ハーミアよ。此方こちらは樹海帝国皇帝ヒロト様です。」


「樹海帝国皇帝のヒロトだ。宜しく。」


道具屋の中年の女性が俺に挨拶する。


ヘレナ「アマゾネス国のヘレナです。宜しくお願い致します。

陛下、ハーミア様、本日はどのような御用でしょうか?」


ハーミア「ヒロト様が南の王国に行くので、南の王国の情報を教えて欲しいの。」


ヘレナ「はぁ。それだけの用事でこの国に正式入国したのですか?」


ハーミア「え!不味かったかしら?」


ヘレナ「王城は樹海帝国の皇帝がみえた事で上を下への大騒ぎですよ。


この次は私を呼び出してください。もっと静かに話が出来るでしょう。この国の王と話をする用事は特に無いのでしょう。」


「この国の王に用事は無いね。」


「ほらね。」って言う顔でジト目でハーミアを見る。


ハーミアは顔を真っ赤にして下を向く。


そして小声で「すいません・・・。つい、いつものように入国しちゃいました。」


ヘレナ「はぁ。陛下、ご迷惑をお掛け致しました。」


溜め息。


ヘレナ「ここで話をすると人目につく可能性があるので、奥の部屋へどうぞ。」


俺とハーミアはヘレナの後に付いていく。


奥の小さな部屋に入る。


椅子とテーブルだけしか無いシンプルな部屋だ。


ヘレナ「陛下、すいません、こんな物しかございませんがどうぞ。」


お茶を出された。


「有難う。」

お茶を飲む。ん?旨いな。


アイが鑑定する。白茶はくちゃらしい。


ボソッと独り言。


「白茶か。」


ヘレナ「ご存じでしたか。流石さすが皇帝陛下。」


ハーミア「何々、白茶はくちゃって何?」


ヘレナ「芽に白毫はくごうと言う白い産毛が生えた茶葉を、萎凋いちょうして火入れで乾燥させただけの簡単なお茶です。」


ハーミア「萎凋いちょう?」


ヘレナ「放置してしおれさせる事です。」


ハーミア「それだけ?」


ヘレナ「それだけです。」


ハーミア「へぇ~。美味しいわ。」


「うん。旨い。この茶葉と苗は有るかな?」


ヘレナ「苗を欲しがるとは食通と評判の陛下らしい。」


「ん?食通と評判?」


ヘレナ「陛下の城の食堂は食通が集まると聞いております。料理人にとっても憧れの聖地。是非一度訪れてみたいところです。」


「ふむ。基本的には眷属しか入れないのでな。残念ながら。」


ヘレナ「是非、眷属にしていただきたくお願い致します。」


「え!間者でしょ?

ハーミア、これでいいの?」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


新作投稿しています。


ぜひぜひ!お読み下さい!!!


タイトルは

『悪逆無道の異世界冒険記』


URLは

https://kakuyomu.jp/works/1177354054893659463

です。


何卒、応援の程、

宜しくお願い申し上げます。

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