第274話 有翼人(その4)

ウイグド「樹海帝国皇帝ヒロト様御一行様、アマゾネス国女王ハーミア様、ようこそ有翼人国へ。

私は宰相のウイグドと申します。


本日はお忍びと聞いておりますが、我が王が一目でもお会いしたいと申しておりますので、是非城に来ていただきたくお願い致します。


その後はお忍びの行動を御自由に満喫ください。何卒お願い致します。」


「私が樹海帝国皇帝ヒロトです。承知しました。ご案内お願いします。」


はぁ、面倒臭い。


ウイグド「有難う御座います。それではお昼前にここにお迎えに参ります。それまでは御自由にどうぞ。」


「承知した。」


ウイグドと付き従う騎士達が客間を出ていく。


俺はスラオの風魔法で部屋の壁沿いに風を起こし、部屋の外に音が聞こえないようにした。


ハーミア「な、何をされたのでしょうか?」


「風魔法で音が外に聞こえないようにしました。この部屋は盗聴されています。」


ハーミア「え!」


「両隣の部屋で数人が魔法で聞き耳をたててるよ。」


ウィーラ「まあ、他国だから当然じゃな。」


ハーミア「そうですか・・・。」


「ハーミア、これから間者に会うんだろ?盗聴されてたら不味いでしょ。」


ハーミア「は、はい!」


「俺とハーミアはスラオの隠蔽で隠れて間者に会ってくる。」


レイ「私も同行します。」


レイは俺の左手に絡んで世界樹の手甲に変化した。


ビー「私も。」


ビーは小さい蜂に変化して左手にくっつく。


ブラリリ「誰か一緒に色々食べに行くのに、同行していただけませんか?」


ウィーラ「わらわが同行するのじゃ。」


グレイア「私もブラリリに同行します。」


ユイ「私もー。色々食べてみたいわ。」


「よし、決定だ。お金を渡しておくね。」


ウィーラに持っていた現地通貨を半分渡す。


ウィーラ「こんなに多く!店でも買うのかい?」


「少ないよりいいでしょう。」


さあ、行こうか。


ブラリリ達が客間を出て町の探索に向かう。


俺とハーミアはスラオの隠蔽の魔法で隠れて後をついていく。


客間があった建物を出る。


ブラリリ達は真っ直ぐ歩き出した。


俺とハーミアは途中で立ち止まる。


「ハーミア、アマゾネス国の間者は何処にいるんだい?」


「町の商店街にある道具屋です。」


「商店街に向かうか。」


その時、『シュタッ』とアンナが出現した。


いつもの黒いサイバー忍者衣装だ。

俺達と同じく隠蔽魔法をしているようだ。


アンナ「ヒロト様、ブラリリ達が監視されていますが、どうしますか?」


「放っておこう。国の隠密だろう。危なくなったら助けてあげて。」


アンナ「御意。」


段々忍者になりきって来たな。


「御意。」って言う返事を、この大陸ではじめて聞いたよ。


転移者のサクラかヒナ、もしかしたらユイが教えたのかな。


「俺たちには監視の目は無いんだろう?」


アンナ「はい。ヒロト様。隠蔽魔法により見えていないと思われます。それでは、また。」


『シュッ』とアンナは消えた。

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