第273話 有翼人(その3)

有翼人の男の門番がハーミアに話しかける。


門番A「この辺りでは見ない種族もいるな。何処から来た。」


ハーミア「私はアマゾネス国の女王ヒポリュテの娘。王女ハーミアよ。この王家の紋章を確認してください。」


ハーミアは懐から紋章が入ったペンダントを取り出し門番に渡す。


門番A「おお!本物だぞ。」


門番B「何!・・・本当だ。」


門番A「ハーミア様、失礼ですが訪問の話は伺っておりません。本日はどのような御用事でしょうか?また、後ろの方々はどういったご関係でしょうか。」


ハーミア「後ろの方々は樹海帝国皇帝ヒロト様とその御一行です。本日はお忍びで来ておりますので、大事おおごとになると困ります。その事を王にお伝えください。」


他の国に入るのは面倒だな。


門番B「承知しました。王にお伝えして来ますので暫くお待ちください。」


門番A「それでは陛下、ハーミア様、後ろの方々も此方こちらにどうぞ。」


俺達は門の中にある客間に案内された。


客間は最上級の部屋らしく華美に装飾されている。


俺達はロココ調の豪華なソファーに腰を下ろし待っている。


テーブルには人数分の紅茶と茶菓子が用意された。


紅茶も御菓子もそこそこの味。


まあ、こんなもんか。


ハーミア「はぁ、美味しい紅茶と御菓子です。最高級品を用意された様ですね。」


良く味わって大事に食べるハーミア。


ユイ「ふ~ん。最上級品なのね。」


『バリバリ、ボリボリ』適当に食べてるうちのメンバー達。


レイは人化形態で俺の左に座ってるが、俺の紅茶をちょっと舐めて苦い顔をしていた。


ウィーラ「うむ。確かに高級な部類には入るぞ。まあ、樹海帝国の味と比べれば何処の料理も二級品じゃがな。」


ブラリリ「でもこの御菓子に木ノ実が入っているところが良いですね。食感の違いを味わえます。紅茶はもう少し発酵をさせたらもっと味わいが良くなりそうです。」


ハーミア「え!こんなに上品で美味しいのに?」


ユイ「こんど、樹海帝国の食堂に招待するわ。ヒロト様、いいでしょ?」


「うん。いいよ。王女ヒポリュテは来たことあるし、ハーミアは属国の王女だからね。」


ハーミア「有難う御座います。」


「しかし、他国に入るのは面倒だな。南の王国もこんな感じの入国になるならハーミアさんの案内は不要です。国の上層部にも入国の事実は知られたくない。」


ハーミア「!」


ハーミアは驚き、恐縮している。


ハーミア「・・・すいません。南の国は密入国する形で進めます。」


暫くすると、客間にノックの音がして、有翼人の男が入って来た。


後ろに二人の有翼人の騎士を従えている。


着ているのは臙脂色えんじいろのロココ調のアビ・ア・ラ・フランセーズ。


アビ・ア・ラ・フランセーズは、コート、ウェストコート(袖の無いベスト)、ブリーチズ(半ズボン形式のゆったりした男性用の下体衣)で構成される。


レース風のクラヴァット(ネクタイの原型)を首に巻き、膝丈の長い靴下を履いている。


こんな豪華な衣装なのに、翼があるから背中は開いてるんだよなぁ。

有翼人の服は面白い。


臙脂色えんじいろの服に白い翼が見事だ。

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