第267話 アマゾネス国(その3)

ヒポリュテ「現在優勢な勢力は三つ、東のタキーダ軍、西のモリー軍、中央のオーダン軍です。


小さい領地の領主達はこの何れかの勢力にくみしています。


そしてそれらの勢力は近隣にある小国群の各国にも与するよう、迫っています。」


「少しでも勢力を強くしたいだろうからね。」


ヒポリュテ「ところが、小国群の各国は驩兜カントウ軍に蹂躙された傷跡が癒えてない事と、その時の樹海帝国軍の強大さを目撃しているので、南の王国の三勢力になびく者はおりません。」


「ふ~ん。」


ヒポリュテ「それどころか、樹海帝国との交流や貿易を通じて我が国同様に樹海帝国の傘下に入りたいと、我が国に依頼が連日来ています。」


「え~。それならあんなに派手に歓迎しちゃダメでしょ。


俺がここにいる事を知られたんじゃない?俺は小国群の人と会う気はないよ。」


ヒポリュテ「その件は問題ございません。陛下を小国群の者と会わせるなんて恐れ多い。


そんな権限等私どもには始めからございませんので。陛下の下知を粛々と実行するだけで御座います。」


グレイア「歓迎の出迎えは樹海帝国の傘下にあることの事実を、周辺国に再認識させたかったんでしょ。」


ヒポリュテ「その通りで御座います。」


ウィーラ「樹海帝国の傘下に入れる事は出来ないけれど、アマゾネス国の配下にすることが出来るというカラクリかい?」


ヒポリュテ「う、・・・その通りで御座います。いけなかったでしょうか?」


「いや、問題ないよ。自分の裁量でやってくれ。


南の王国が荒れてるから、足元を固めたいんでしょ。


せめて樹海帝国が助けに来るまでは自分の領土を守れないとね。」


ヒポリュテ「あ、有難う御座います。」


ヒポリュテは言い難そうに次の言葉を口にする。


ヒポリュテ「へ、陛下にお願いが御座います。聞いていただけないでしょうか?」


「聞いてみないと了承の判断は出来ないので、取り敢えず聞こう。」


ヒポリュテ「私を眷属としていただけないでしょうか?」


「うん。いいよ。強くなる事と念話のネットワークに入りたいんでしょ。」


ヒポリュテ「おお!有難う御座います。」


「テイム!」


ヒポリュテを眷属にした。


<アマゾネスをテイムしました。>


ヒポリュテ「す、凄いです。力が格段に上がりました!これで城の食堂にも通っても良いのですね!」


「あれ?そんな縛りあったっけ?

幹部は自由じゃないの?」


ヴァンス「セキュリティ上の施策じゃないかな?


眷属は裏切らないから、幹部でも眷属か眷属と一緒じゃないと自由に城には入れないよ。」


「いつの間に!まあ、いつも丸投げでお任せだからなぁ。俺のためにしてるみたいだからいいか。」


逆にいちいち承認依頼が来ると書類仕事しなくちゃダメになるしな。


ヒポリュテ「陛下、南の王国の道案内として一人同行させてください。」


「道案内!そうだね必要か。」


ヒポリュテ「ハーミア、来なさい!」


アマゾネスの兵士の中から1名前に出てきた。


長い金髪を後ろに纏めている。

円らな青い目。

ちょっと幼い少女。

スリムだが筋肉質の身体。

ノースリーブの革鎧から

逞しい二の腕が見える。

両手に金属の手甲。

下半身は黒革の軽鎧。ブーツ。


ハーミアは跪き挨拶する。


ハーミア「ヒポリュテの娘ハーミアでございます。この身にかえても陛下をお守り致します。」


「うん。宜しくね。顔を上げて立っていいよ。自分は犠牲にしないで、危なくなったら逃げなさい。」

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