第230話 鯀(その5)

四罪のこんをムラマサの天之尾羽張あめのおはばりで首を斬り落とした。


ハクがコンの亡骸を異次元に収納する。


布袋を手に取る。


神気が無いと息壌ソクジョウは操れなさそう。

アリアに渡す。


「アリア、グリフォン達を支援している息壌ソクジョウを回収出来る?」


古竜達とグリフォン達は遠くにいたため、スラオの邪気の影響はなさそうだ。


戦いを止め、驚愕の表情で呆然とこちらを見ている。


アリアは布袋に神気を流す。


外に漂っていた息壌ソクジョウは、全て布袋に戻っていった。


アリア「回収したよ。」


「有難う。その布袋はアリアが使ってくれ。」

アリア「おお、有難う。色々使えそうね。」


グリフォンのリーダーらしい者が、意を決した様に飛んで近づいてきた。


空中で膝をつき最上級の臣下の礼の姿勢になる。


他のグリフォン達も後に続き空中で臣下の礼をとる。


グリル「皇帝陛下、グリフォンリーダーのグリルでございます。この度は多大なご迷惑をお掛けし申し訳ございませんでした。私の身を捧げさせていただきます。どうか我が一族には、何卒寛大な処置をお願い申し上げます。」


「え!何もしないよ。コンに操られてたんでしょ。言ってみれば被害者だよね。」


グリル「おお!なんと寛容なお言葉。我が一族は皇帝陛下の眷属となり、忠誠を誓わせていただきます。手足の様にご自由にお使いください。」


グリフォン達が眷属になった。


「承知した。宜しくな。」


と言いながら、アリアに小声で。


「テイムしてないけど、眷属になっちゃったよ。」


アリア「そんな事もあるのね。」


レイが先程落ちたヒッポグリフと傷付いた古竜達、グリフォン達をエリアハイヒールで回復したら、ヒッポグリフも臣従した。


リザルド「ん?竜王がいないぞ。」


スパ「あそこよ。」


スパが指差した先。竜王山の地表で、背中を丸めて震えている竜王がいた。


「アリア、竜王は神気で包まなかったんだね。」


アリア「そうみたい。気づかなかったわ。」


俺達は竜王の側に降りる。


アリアは神気で竜王を優しく包んだ。


竜王はのろのろと起き上がり臣下の礼をとった。


古竜エンシェントドラゴン達も竜王の周りに降りて臣下の礼をとる。


ドラシル「お助けいただき有難うございました。我が一族も眷属となり誠心誠意お使い致します。」


竜王ドラシルが眷属となった。

「うむ。分かった、宜しく頼む。」


(え!ドラシルもテイムしてないのに眷属になったよ。)

念話で皆に伝える。


ルシー(あの邪気の後にアリアの神気だもんね。もう従うしか無いわよ。スラオって何になったのよ。)


スラオが降りてきた。

スラオ「亜神バアルゼブルと悪魔ベルゼブブらしいよ。良く分かんないけど。」


皆「ベルゼブブ!」

ルシー「大悪魔で魔界の君主じゃない!」

スラオ「何でも食べられるみたい。」

ルシー「暴食!七つの大罪ね。」


スラオが微笑している・・・らしい。

影だから分かんない。

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