第220話 女神ミネルヴァ

転生神シルミルを倒した俺達の前に女性が現れた。


ミネルヴァ「私は女神ミネルヴァ、転生神シルミルの上司よ。

戦う気はないわ。

少しお話をしましょう。」


ミネルヴァは椅子を3つ出す。

何の変哲もない木製の椅子。

自ら一つの椅子に座ると、俺達にも座る事を勧める。


俺とアスタロトも椅子に座った。


「転生神の名はシルミルなのですか?」


ミネルヴァ「そうよ。貴方の想像通り、異世界転移者の初代勇者シルミルです。」


「そうだったのですね。」


ミネルヴァ「彼は独善的で自己中心的、おまけにコミュ障。

亜神達からクレームがあったので、注意警告をして様子を見ていたの。」


「独善的で自己中、コミュ障・・・。確かに。」


ミネルヴァ「彼は、勇者として魔王討伐後シルミル教国を建国。

自ら神と称し君臨。

その後レベルアップを重ね、進化して神になったのだけど、正直任せられる仕事がなかったのよ。

それで異世界転移の経験者だし、転移元の世界も詳しいので、私の仕事を一つ任せたんだけど。

あんな感じで困ってたのよね。

元の世界は人間の手で自然破壊が進み滅亡しそうだったんでしょ。」


「はぁ。その通りですが。」


ミネルヴァ「それを異常に警戒してて、魔王と勇者の戦い。

人間と魔族の対立。

ダンジョン等で亜人も含めた人類の増加を抑制しようとしてたみたい。」


「人類が増加すると世界は滅亡するのですか?」


ミネルヴァ「そうとも言えるし、そうじゃないとも言えるわ。

人類の行い次第ね。」


「そうなんですね。」


ミネルヴァ「まあ、いなくなった者はしょうがない。

ただ、転生の管理は必要なのよ。

貴方は亜神に進化出来るけど、シルミルの替わりに転生神やってみない?」


「お断り致します。」

速答だ。


ミネルヴァ「そうかぁ。困ったわね。

貴方の眷属でアリアという人間の子がいたわね。

亜神に進化出来るんだけど、転生神やらないかしら?」


「本人に聞いてみないとなんとも言えませんが、恐らくは断ると思います。」


ミネルヴァ「ふぅん。取り合えず後で聞いてみるわ。」


「神託で強制しないでください。」


ミネルヴァ「やだ、私は強制なんてしないわよ。」


ミネルヴァ「ところで、お願いがあるんだけど。」


「なんでしょうか?」


ミネルヴァ「シルミルが封印された魔王の替わりに、厄介な者達を転移させちゃったの。

そいつらを倒して欲しいんだけど。」


「え!」


ミネルヴァ「四罪しざいっていう異世界の亜神達。」

「はああああ?四罪しざい

無理でしょ。お断りします。」


ミネルヴァ「そんな事言わないで、神殺しがあるから四罪しざいも殺せるわ。

貴方の眷属達も、今回の戦いで神では無いけど、亜神クラスに進化出来る子がそれなりにいるわよ。

それに四罪しざいは現在大自然を根城にしてるけど、そのうち樹海にも侵略するわよ。」


「降りかかる火の粉は払いますが、神の後始末は神がしてください。」


ミネルヴァ「それでシルミルに責任取らせようとしたら、貴方が殺しちゃったでしょう。

対応できそうな魔神セトも死んじゃったし・・・。」


チラッとこっちを見る。


「いやいや、天罰でも何でもやって神で倒してください。」


ミネルヴァ「ふぅん。まあ、そのうち何とかするわ。それまでの間、大陸が滅亡しないようにね。」


あぁ~。このひと何もしない気だ。


その後、俺達は転生神の白い空間から、樹海帝国の城に転移で帰った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る