第219話 神殺し(その2)

スラオの転移で転生神の空間へ移動した。


転生神に呼ばれた時、スラオが背中に一体化していた。


スラオも一度行ったところに転移可能だったので、転生神の空間へ転移出来るようになっていた。


白い空間。後ろ姿のじいさん。


転生神。


転移すると直ぐに無心で袈裟斬り。


何も考えない様にしないと駄目だ。

転生神は心の中を読む。


殺気も含み、どう斬ろうとか、どこを斬ろうとか、刀の軌道すら考え無い様にしないと・・・。


無心。


その為、転移前から八双に構えて、首をそのまま落とせる様に刀をただ振るだけにしたかった。


でも、何も考えないなんて人間には出来ない。


そこでどうするか。


座禅。


座禅の中で『呼吸をはかる』という言葉がある。


調息とか、数息感とか言うそうだ。


吸って吐くそれを一として呼吸の数を数える。


邪念が浮かべば、一から数え直す。


呼吸以外の事は考え無い様にする。


ただ呼吸の数を数えるのだ。


そして刀を振り下ろす事はムラマサにお任せだ。


元々俺はただの人間の筋力しかない。


ムラマサの憑依とその魔力により神速の力を得ている。


ムラマサの魔力を纏ってムラマサの力で袈裟斬りに振り下ろす。


転生神は振り返りにやっと笑う。

転生神「無駄だ!」


ちっ、気付かれたか!

流石、転生神。


転生神は神気を発動。


閃光の様に一瞬で神気が拡散する。


俺は吹き飛ばされそうになった。

袈裟斬りが途中で止まる。

後ろからアスタロトの邪気が俺を支えた。


アスタロト「お任せください。」


悪魔アスタロトの濃厚な邪気が俺の後ろに溢れていた。

そしてスラオが足から伸びて、俺の身体を床に固定していた。


(スラオ、有難う。)

スラオ(後、少し。)


ムラマサをそのまま降り下ろす。

転生神は汚ない杖でムラマサを受け止める。


その時、ムラマサはスキルを発動した。

ムラマサ「天之尾羽張あめのおはばり!」


ムラマサは汚ない杖をすり抜ける。

転生神の驚愕きょうがくした顔。

ムラマサは転生神の首をねた。


転生神の首が転がる。

身体も倒れた。

血は出ない。


転生神の首はその眼が俺が見える位置で止まる。


転生神は首だけになっても喋る。


転生神「馬鹿な?十束の剣か!

いつの間にそんなものを・・・。」


転生神は悔しそうな顔で事切れた。


レベルアップのメッセージが流れた。


「アスタロト、有難う。支えてもらわなければ、ヤバかったよ。」


アスタロト「いえいえ、主様の力、お見事でした。」


ハクが転生神を異次元に収納した。

倒したら収納ね。これ常識。


その時、白い空間に神気が渦巻いた。

知らない女の声。


女「あら?遅かったわ。魔神セトを倒したから、もしかしてと思ったけど、殺しちゃったのね。」


俺たちは女の方を振り向き身構えた。

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