第209話 転生神(その1)

夕食だ。樹海帝国城の食堂。


食堂はレストランのようにテーブルが沢山。


俺のテーブルは決まっていて、一番大きいテーブル。


妻たち全員座るので大きくなるよね。


食堂でも右側にハク、左側にレイが座る。


定位置ね。


戦いは一段落して、ゆっくりと皆で食事を楽しむのだ。


今日はしゃぶしゃぶだ。


ダンジョンの海で採取した昆布の出汁。


昆布も魔素が染み込んでいい具合に美味しくなってる。


肉もダンジョン牧場の最高級魔牛の肉。


部位はサーロインだ。

王様サーの称号を冠する肉の王様。


皇帝が食べるに相応しい。

きめ細やかな肉質。

柔らかく上品な風味。


タレはポン酢。

そして紅葉おろし。

定番ですね。大好きです。


ポン酢の材料である醤油、酢、味醂、レモン汁もダンジョン産だ。


紅葉おろしの材料である大根と鷹の爪も、勿論ダンジョン農場産だ。


万能ネギを小口切りにして薬味にする。万能ネギもダンジョン農場産。


野菜は白菜、白葱、人参、椎茸。全てダンジョン農場産。


旨い!旨すぎ!

いくらでも食べられる。


ああ。幸せえ~。


と眼を閉じて堪能していたら、真っ白い空間にいた。


「ん?」


目の前に冴えないじいさん。

白い布を身体に巻いてる。


長髪白髪。白い口髭。

長い顎髭はグレー。

裸足。手には1本の汚い杖。

誰だこいつ?


転生神「儂は転生神じゃ。

冴えないじいさんと思っておるな。

不敬な奴じゃ。」


転生神から荘厳で神々しい神気が溢れ出す。


考えていることが分かるのか?

この神々しい力は強力だ。

ヤバいこの人には勝てない!


転生神「そうじゃ。

お前の心を読めとるぞ。

儂には勝てんのじゃ。

無駄な抵抗はするな。」


転生神は凄みを増し俺を威圧した。


ヤバっ、逆らっちゃいけない。

くっ、ここで何も考えるな!

無心だ。無心だ。


転生神「まあ、考えても、考えなくとも同じじゃ。

せっかく儂が魔王を誕生させて人間と魔族を戦わせているのに、封印なんてするとは、お主余計な事をするな!」


「はい。」

無心。無心。


転生神「いいか、魔王の封印を解くか魔王を殺せ。儂の邪魔をするな!」


「はい。」

無心。無心。


転生神「それから、魔族と人間を協調もさせるな。」


「魔族と人間を敵対させろと言うことでしょうか?」


転生神「うるさい、質問は許さん。

儂の言う事を黙って聞けばよいのじゃ。神罰を下すぞ!」


神の強力な威圧が俺を潰しそうだ。


「はい。」

無心。無心。


転生神「それと召喚の間の封印は解除しろ。召喚出来るようにしておけ。」


「はい。」

無心。無心。


転生神「勇者達は魔王を倒したら、始末しておけ。」


「!・・・はい。」

無心だ・・・。


転生神「ダンジョンに侵入した者は適当に始末しろ。」


「はい。」

無心。無心。


転生神「ダンジョンは生活の場ではないぞ。ダンジョンに牧場とか農場とか作るな。

ダンジョンは人間や亜人、魔物達の増加を調整するものだ。

生産なんてもってのほかだ。」


「・・・はい。」

無心。無心。


転生神「以上だ。

良し、帰って宜しい。」

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