第183話 シルミル教国の崩壊(その3)

シルミル教国が魔王軍に乗っ取られていた。


スパから急な報告。


どうも、以前ガラード王国で宰相をしていた『シルテス』が、シルミル教国に入って、教皇に会っていた様だ。


この男が怪しい。

教皇はアンデットにされていたようだ。


スパにその時の映像を念話で流してもらった。

本当、念話って便利だわ。



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教皇庁執務室。


「コンコンコン。」とノックの音。


教皇「入れ。」


シルテスが普通に胸を張って執務室に入って来た。


シルテス「樹海王の魔王認定は上手くいかなかったようですね。」


教皇「すいません。

まさかの鎖国と樹海王国にあれほどの結界が張れるとは想定外でした。」


シルテス「まあ、しょうがないでしょう。

古龍、エルフ、教国、帝国、小国群と包囲網自体は上手くいきましたが、まさか結界を張って鎖国するとは、誰も思いません。」


教皇「次は如何いかがなされますか?」


シルテス「教国の崩壊は時間の問題ですね。」


教皇「はい。食糧難から飢えて反乱が頻発するようにいざないました。」


シルテス「食糧難の原因は樹海王国。

その認識は植え付けられたのでしょうか?」


教皇「樹海王国は最近樹海帝国と名乗ってます。

国民の意識誘導はあまり上手く行ってはいませんが、ある程度は効果はありました。」


シルテス「ふむ。樹海王国でも樹海帝国でも、どちらでも良いですが。

それより、そろそろシルミル教国を魔王軍に貰いましょうか。」


教皇「仰せのままに。」


シルテス「勇者が邪魔ですね。

魔王様に万が一の事があっては一大事です。

樹海王国に殺させる計画でしたが、

一人ひとり生き残ってしまいました。」


教皇「そちらは問題ありません。

勇者暗殺のための人員を同行させています。」


シルテス「宜しい。強くなる前に抹殺しなさい。」


教皇「承知しました。

抹殺後、私と同様にアンデット化しますか?」


シルテス「いや、勇者は危険なので、死体は消去しましょう。」


教皇「承知しました。」


シルテス「手始めにこの都市を魔王様に献上して拠点としましよう。

転移魔方陣の準備をしなさい。」


教皇「承知しました。」


教皇は執務室から出て、召喚の間に急ぐ。


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ユイ「タクミくんが危ない!

すぐ知らせなきゃ。」


「そうだね。

だけどタイミングが難しい。

こちらの話に耳を傾けてくれれば良いのだけど。

聞いてくれないと助けるチャンスが無くなるかも知れない。

殺される寸前に助けるのがベストかな?」


ユイ「上手くいくかしら?」


「上手くやるしかないよ。

しかし剣聖アバンニが邪魔だな。」


ルシー「魔王軍の仕業ね。樹海王国から手を出し難くしたんだわ。」


「なるほど。考えたな。

教皇の刺客はあの魔法使いだと思うけど、案外剣聖も刺客かもね。」


ルシー「聖騎士も聖女も刺客かもよ。」


「なるほど。パーティー全員が刺客だったら怖いねぇ。」

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