第173話 剣聖オニバル

ライゾウに乗ってレイの分身体がオニバル軍に到着した。


オニバル軍は野営中だった。


警備らしい兵士達の前に降りる。


レイはライゾウから降りて、並んで兵士達の前に歩いて行く。


ライゾウ「俺は精霊族代表のライゾウだ!

そして、このお方は王妃レイ様だ。

オニバルのところに案内しろ!」


兵士「ん?剣聖オニバル将軍を、呼び捨てとはいい度胸だな。」


兵士が苦虫をかみ潰した様な顔で腰の剣に手をかける。


オニバル軍には小国群から、オニバルに憧れて加入した新参の兵士が多数いる。

運悪くその兵士の前に降りたらしい。


ライゾウは兵士の表情や言葉を気にせず話し掛ける。


ライゾウ「剣聖?いつからオニバルは剣聖になった?」


兵士「貴様、一度ならず二度までも、尊敬する剣聖オニバル将軍を、呼び捨てにするとは許さん。」


兵士が剣を抜いた。

瞬間、雷撃が兵士を貫く。

兵士は崩れ落ちる。


兵士達「どうした!敵襲か?」

近くにいた兵士達が駆け寄って来た。


兵士達がライゾウとレイを取り囲み剣を抜く。

それを見てライゾウが切れた。


「貴様ら!レイ様に剣を向けるとは何事だああああ!」


すると取り囲んだ兵士達は、レイの魔法で刹那の内に、地面から生えたつるに絡め取られ拘束された。


レイ「ライゾウ、怒りを静めなさい。」


更に兵士達が集まって来て周りを囲む。


兵士達を掻き分けて、ライオンの獣人族ライゴー副将軍が現れた。

ライゴー「なんだ、敵襲か?」


ライゴーはライゾウとレイを一目見て。

ライゴー「レイ様!ようこそおいでくださいました!」


最上級の礼でレイを迎える。


ライゾウ「ライゴー!貴様、兵士達のしつけがなってないぞ。

精霊王レイ様に剣を向けるとは無礼千万。許さん!」


ライゴー「え?レイ様に!

大変失礼致しました。

兵士達は後でたっぷり躾ておきますのでご容赦いただきたくお願い致します。」


ライゴーはひたすら頭を下げる。


レイ「まあ、いいでしょう。

味方ですから許しましょう。

ライゴー、王妃の中で一番温厚な私で良かったですね。

ルシー達ならオニバル軍は消滅してましたよ。」


ライゴーは汗をかいて再度頭を下げる。


ライゴー「許していただき有難うございます。

二度とこのような事が発生しないよう厳重に注意致します。」


ライゴーは兵士達を見渡す。


ライゴー「お前ら!

知らないとは言え、大変無礼な真似をしおって、オニバル将軍と俺の顔に泥を塗ってくれたな!

このお方を誰と心得る?

俺とオニバル将軍が敬愛する剣の師匠である樹海の王ヒロト様の奥方であり、樹海王国を守護していただいている世界樹、精霊王レイ様だぞ!」


兵士達が動揺する。

そして全員が一斉に土下座。

兵士達「も、申し訳御座いませんでした!」


レイは兵士達を拘束していたつるを消す。


そこにオニバル将軍がやって来た。


オニバル「レイ様、ヒロト様より事前に連絡を受けていたにも関わらず、うちの兵士達が無礼をはたらき、申し訳御座いませんでした。」


オニバルも土下座して詫びる。


レイ「先程許しました。もう良いのです。」


オニバル「寛大なお心、感謝致します。」


ライゾウ「ところでオニバル!

剣聖になったのか?」


オニバル「うむ。

いつの間にか剣聖の称号があった。

これもヒロト様の恩恵であろう。」


ライゾウ「そうだな。

ヒロト様のお陰だろう。

いずれにしてもそれは喜ばしい事だ。

おめでとう。」


オニバル「有難う。

こんなところで立ち話も失礼だ。

案内しよう。

レイ様こちらへどうぞ。」


レイとライゾウはオニバルに連れられて、オニバルの天幕に向かった。

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