第165話 魔法国家ソルセル(その4)

馬車は首都ソルセルに着いた。


入口で入市税を支払い中に入る。


エルセラ「宿は私が知っているところで良いでしょうか?」


ヒナ「一番豪華な宿にしてねー。」


エルセラ「承知しました。」


馬車で都市の中央部に向かう。


首都ソルセルも城塞都市。


石壁と魔法コンクリートで固められた壁。


煉瓦レンガや石、木枠に魔法コンクリートで作られた家々。


他の街では精々4階建てが高い建物だが、ここでは10階建てまである。


「ウィーラ、これってコンクリートだよね?」


ウィーラ「そうじゃ。

魔法コンクリートじゃよ。

妾が開発したのじゃ。」


「おおお!流石魔女様。」


ウィーラ「製法は他国に秘密じゃったが、樹海王国には伝授するのじゃ。」


「有難う。」


馬車は最高級の宿の前に着いた。


エルセラ「ここが最高級の宿です。」


ローマの宮殿の様に豪華。

10階建て。

石と魔法コンクリートで出来た壁。

至るところに繊細な彫刻がある。

大きな鉄の扉を開く。

室内は白。魔法漆喰で塗られている。

テーブルやソファーも白い布がかけられている。


「漆喰?」


ウィーラ「魔法漆喰じゃ。

これも妾が考案した。」


エルセラはフロントに行くとチェックインの手続きを行った。


エルセラ「馬車は宿の人が馬車置き場に運んでくれるわ。


部屋は10階、最上級の部屋をとりました。」


ヒナ「やったー。」


フロントの右側から奥に進むと。


ヒナ「エレベーター?」


ウィーラ「魔法エレベーターじゃ。」


ヒナ「これもウィーラ?」


ウィーラ「そうじゃ。」


ヒナ「ウィーラすごーい。」


ウィーラ「照れるのぅ。」


エルセラ「都市の基本技術のほとんどと、魔法の基礎技術は、ウィーラ様が編み出したものです。」


ウィーラ「そう言えば、最近植物が実をつけない問題があった。

国より調査を頼まれていたのじゃが、皆目かいもく見当がつかんかった。

植物になんの問題もなかった。

病気でもない。

あれは樹海王国の仕業じゃろ?」


サクラ「そうよ。蜂を樹海王国に連れていったの。」


ウィーラ「蜂を?」


サクラは植物の受粉の仕組みをウィーラに説明した。


ウィーラ「なるほどのぅ。

蜂は盲点じゃった。

そう言えば蜂や鳥を見かける事が少なかったのじゃ。

樹海王国もなかなか厳しい手を打つのぅ。」


そんな会話をしていると魔法エレベーターで10階に到着した。


10階は全てがスペシャルルーム。


エレベーターの扉が開くと、ぐにもうひとつの扉。


御付きの人を含め30人は泊まれる様になっていた。


ヒナがお風呂とトイレを、小走りでチェックしに行く。


ヒナ「おおおおお!水洗だー。お風呂も大きめだよー。」


エルセラ「上水、下水の環境も」


ヒナ、ハピ「これもウィーラ!」


エルセラ「ご名答!」


「ウィーラ!凄いじゃん。」


ウィーラ「いやいや。」


エルセラ「食事はここに運ばれます。

もうじき来るでしょう。

食事をしながら、今日明日の予定を決めましょう。」


暫くすると数人の給仕がワゴンに料理を乗せて来た。


銀の皿に銀のクロッシュ


スペシャルルームのダイニングテーブルに並べる。


銀のクロッシュを開けると美味しそうな料理が・・・。


サクラ「ん。なんかイマイチ。」


「そうだね。」


ヒナ「ちょっとガッカリだわー。」


エルセラ「美味しいですけど?

最近食糧難のため、いつもより少し素材の質は落ちますが、充分最高級の料理と言える味です。」


ウィーラ「まあ、樹海王国の料理と比べればのぅ。」


エルセラ「え!樹海王国の料理は、そんなに美味しいのですか?」


ウィーラ「美味しいのじゃ。

魔法国家のこの高級ワインが安物に感じるのじゃ。」


エルセラ「それでは今度是非食べさせてください。」


「今度と言わず、今夜の夕食は樹海王国の城の食堂で食べるか?」


ルシー「そうね。エルセラとウィーラも皆に紹介しましょう。」


エルセラ「そんな事が可能なのですか?」


「魔法で転移できるしね。」


エルセラ「転移!」


「と言うことで、エルセラ、宿の夕食はキャンセルしてくれ。」


エルセラ「承知しました。」

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