第164話 魔法国家ソルセル(その3)

魔法学園校長エルセラの辞任は学園に止まらず、学園都市ソルトク全体にも動揺が広がった。


竜脈の魔女の店が閉店し封印された事は、まだ広まって無いようだが、ウィーラは有名人みたいなので、判明時にまた動揺が広がるだろう。


宿で朝食を食べると、一行に竜脈の魔女ウィーラと元魔法学園校長のエルセラを加えて首都ソルセルに向けて出発だ。


「10人乗りの馬車だから。誰か御者席だな。御者席は後二人座れるよね。アスタロト?」


アスタロト「はい。後二人座れます。」


ウィーラ「妾が御者席に座ろう!外の景色をこの目で見たいのじゃ。」


エルセラ「じゃあ、私も御者席に座ります!」


「決定だね。」


ウィーラ、エルセラは御者席に座り、馬車は出発した。


スパ「ヒロト様、商業国家トレセルとステラド帝国がヒロト様の魔王認定を取り消しました。

恐らく小国群は雪崩をうって、魔王認定の取り消しに動くと思われます。

魔法国家ソルセルもその内認定取り消しに動くでしょう。」


「ふむ。教国だけ取り残されるんだね。

教国の動きが要注意だな。」


スパ「はい。引き続き教国の動きも注意します。」


馬車内の話を御者席で聞いていたウィーラ。


ウィーラ「なんじゃ。ヒロト様は魔王認定されてたのかい?」


エルセラ「知らないで、眷属になったんですか?」


ウィーラ「知らんのじゃ。

人間は魔王にならんのを知らんのかのぅ。」


エルセラ「人間が魔王に成らない事は周知に事実。

ヒロト様が人間であることを知らないで、魔王認定したのでしょうね。」


ウィーラ「魔王認定は適当もいいところだのぅ。

その上、取り消すって教国の権威は失墜じゃのぅ。」


エルセラ「教国は焦るでしょうね。

教国の魔王認定を他国が勝手に取り消した事なんて始めて聞きました。」


ウィーラ「うむ、荒れるかもな。」


エルセラ「ヒロト様達は大丈夫なのでしょうか?」


ウィーラ「はははは、全く問題無いのじゃ。

隣のアスタロトさんだけでも、帝国、教国、小国群が集まっても倒せるじゃろ?」


エルセラ「え!」


アスタロト「私は動きませんよ。」


ウィーラ「だとしても、後ろの誰か一人でも充分じゃろ?」


アスタロト「私からは、何とも言えません。」


ヒナが後ろから顔を出す。

ヒナ「充分倒せるよー。」


エルセラ「え!あの人間の女性もそんなに強いんですか?」


アスタロト「私の口からは何とも申し上げられません。」


ウィーラ「あの面子の中にいて、弱いわけ無いじゃろ。」


ヒナ「強いよー。」


エルセラ「そうですか・・・。」


アリアも顔を出す。

アリア「私など、皆さんの足元にも及びません。」


ヒナ「アリアロボがあるからねー。

一人で帝国、教国、小国群を滅ぼせるよー。」


サクラ「私の傑作だからね。」


ヒナ「そうそう。アリアロボ最高ー。

かっこいいよ。」


エルセラ「何だか分かりませんが、見て見たいですね。」


ヒナ「見るー?」


エルセラ「是非、是非。」


ヒナ「見せてあげようよ。」


アリア「いえいえ、こんなところで出したら大騒ぎですよ。」


ヒナ「大丈夫、大丈夫。」


道中の道を外れて、人気の無い草原に行った。


アリアはロボを展開した。


ゴーレムをベースにした身体に、アダマンタイト製の黒いフルプレートアーマー。


手には巨大な黒いアダマンタイト製の大剣を持ち、流線型のフォルム。


サイバーゴーグル、所々に魔道具がついている。


頭にアリアが乗り動く巨大ロボ。


エルセラは茫然自失。


ヒナ「凄いでしょー。」

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