第163話 魔法学園校長エルセラ(その1)

魔法学園正門前。


竜型の精霊をつれているエルフ、魔法学園校長であるエルセラをグレイアは闇の触手で拘束した。


エルセラ「この魔法は何?

そしてこんな膨大な魔力!

グレイア!いったい何があった!」


グレイア「問答無用!

ヒロト様に牙を向いた者は許さん。」


レイの神聖な精霊力が周囲に拡散。


レイ「いにしえの不当な詐術を破り捨て、精霊達を封印の枷から解き放て!

精霊王が命ずる、契約解除コントラクトキャンセレーション!」


レイの詠唱により、精霊契約が解除された。


精霊の腕輪が消滅する。


バッハはエルセラを庇って、ライゾウとエルセラの間に立っている。


レイ「精霊バハムートよ。

汝を不当な契約の呪縛から解き放った。

不当な契約で縛るエルフに鉄槌を与える。

そこから離れよ。」


『バハムート!』だったのか。


名前がバッハって、ここにもネーミングセンスが無い人見っけ。


バッハ「精霊王様、どうかこの人を見逃してください。」


エルセラ「精霊王!」


「おや、不当な奴隷以下の契約を強いられてたんじゃないの?」


バッハ「精霊契約はしていましたが、腕輪に封印された事は殆どありません。

友達として過ごしていました。」


ウィーラ「私からもお願いじゃ。

エルセラは他のエルフとは違う。

他者に優しく、魔法の研究に熱心なだけの娘じゃ。」


エルセラ「樹海の王よ、お願いします。

どうか命だけは取らないでください。

魔法の研究をもっとしたいのです。

いつかは竜脈の魔女様や深淵の魔女様のように、魔法を極める夢があります。

志半ばで死ぬのは悔いが残ります。」


サクラ「私?」


サクラは幻影を解除し魔女の姿に戻る。


エルセラ「深淵の魔女様!」


ウィーラは幻影魔法で婆さんの姿に変わる。


ウィーラ「この子はとっても良い子なのじゃ。

頼むのじゃ。」


エルセラ「竜脈の魔女様!」


サクラ「ヒロト、レイ、ライゾウ、コボミ、この子を見逃してあげようよ。」


「レイ、ライゾウ、コボミ許しても良いか?」


レイ「精霊が解放されれば否はない。」


ライゾウ「バッハが良いなら俺は文句は無い。」


コボミ「他のエルフ達とは違うみたいだから、いいよ。」


「グレイア、拘束を解け。」


グレイア「承知しました。」


グレイアの触手が消える。


エルセラ「有難うございます。」


エルセラは一礼後、手足の拘束の跡を確認する。


そしてグレイアを見つめる。


エルセラ「グレイア、貴方は狡いわ、深淵の魔女様や竜脈の魔女様と一緒で、強力な魔法も手にいれたのね。

深淵の魔女様!弟子は採らないと言ってらしたのに・・・。」


ウィーラ「逆じゃ、儂が懇願して樹海の王の配下にして貰ったのじゃ。」


グレイア「強力な魔法は秘密よ。

深淵の魔女サクラには御世話になってるけど、竜脈の魔女ウィーラには昨日久しぶりに会っただけよ。」


エルセラ「深淵の魔女様、竜脈はどうなされたのですか?

あの店から出られないと聞いていましたが?」


ウィーラ「竜脈は樹海の王にお願いして、結界で封印して貰ったよ。」


エルセラ「それで、店を離れられるようになったのですね。」


ウィーラ「そうじゃよ。」


エルセラ「今後はどうされるのですか?」


ウィーラ「樹海王国に行って技術伝承する予定じゃよ。」


エルセラ「え!私も樹海王国に行きます。」


「樹海王国は鎖国中だから敵国の人間は不用意に入れられないな。」


エルセラ「だって、竜脈の魔女様は樹海王国に行くのですよね。」


「ウィーラは俺の眷属になったからね。」


エルセラ「私も眷属になります。

眷属にしてください。

お願いします。」


あれ?何か変な方向に話が進んだな。


「よく考えて。学園はいいの?

眷属になったら俺の言うことを聞かなきゃいけないよ。」


エルセラ「いいわ!

魔法の為なら身も心も捧げるわ!

学園の校長に未練は無いもの。

深淵の魔女様も前より生き生きしてるのが分かる。」


ウィーラは竜脈からの解放感だぞ。


結局エルセラも眷属にしました。


眷属にしましたとも。


ステータスが倍になって驚きそして喜んだ。


可愛い娘はいいね。


その後、学園をエルセラに案内してもらい宿に戻る。


その日の内にエルセラは学園の校長を辞任した。


学園は混乱しているようだ。


エルセラはグレイアを研究室と住んでいた寮につれていく。


グレイアは闇魔法で研究室の中の物、寮の荷物を収納する。


エルセラ「グレイア有難う。

ヒロト様の眷属になって進化したのね。ダークハイエルフなんて始めて聞いたわ。羨ましい。」


グレイア「エルセラもヒロト様の恩恵で進化出来るかも知れないよ。」


エルセラ「そうね!頑張る!」

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