第159話 九尾の狐と火の鳥

ヒナとユイの使い魔召喚するため竜脈の魔女ウィーラの店の地下に来た。


竜脈の周りを四霊獣結界で囲み、使い魔召喚の準備が出来た。


サクラ「じゃあ、早速使い魔召喚しましょうか。」

ヒナ「何か説明とかないの?」


サクラ「無いわよ。呼べば四霊獣結界で逃げられないし、この面子に戦いを挑む魔物はいないでしょ。暴れたら一瞬で消されちゃうわよ。ね、ルシー。」

ルシー「何で私よ。まあ消しちゃけどね。」


ヒナ「そっかー。私はライゾウの様に可愛くて強い使い魔がいいなぁ。九尾なんてどうかしら。」

サクラ「おお!大きく出たねー。神獣じゃない。ヒナは吸血鬼だから蝙蝠系だと思ってた。」

ヒナ「蝙蝠系ってなによ。九尾の狐でお願いするわ。」


ウィーラ「きゅ、九尾!この国を壊す気かい。」

サクラ「四霊獣と同列ねー。大丈夫っしょ。不死王と精霊王が居るし。じゃあ、呼びましょか。」

コボミ「大丈夫よ。心配無いわ。毛を持つ獣達は私の言う事を聞くから。私が呼びましょうか?」

サクラ「それもそうね、お願いするわ。」


ヒナ「ワクワクするよー。」

コボミ「いにしえの世より、世界を守護してきた神獣、九尾の狐よ、霊獣麒麟の呼び声に応じ、その身を現しなさい!神獣召喚!」


召喚の間に満ちている魔力がコボミに吸い込まれた。

そしてコボミより魔力の渦が床の魔方陣に流れて行く。

魔方陣が怪しく光る。


黒い霧が魔方陣より涌き出てくる。

霧の中より狐の頭が、胸が、足が浮き上がって来る。

9本の尻尾まで現れると全身が現れた。

黒い霧が晴れている。

九尾の狐はヒナと同じくらいの大きさ。

神々しい佇まい。

大きくてふさふさした9本の尻尾が揺れる。


九尾の狐「わらわを呼ぶ者は誰じゃ。」

九尾の狐は周りを見渡しつぶやく。

九尾の狐「精霊王、不死王、四霊獣、悪魔・・・。」


皆からの無言の圧力にビクッとする。

そして小刻みに震える。

一瞬消えかかるが元に戻る。

転移か何かで逃げようとしたんだろうね。

でも結界にはばまれたようだ。

九尾の狐は観念した様子。

九尾の狐「わ、妾をどうする気じゃ。」

サクラ「この子の使い魔として契約して貰うわ。」


ヒナ「私はヒナ!宜しくねー。尻尾がふわふわだー。」

ヒナはモフモフしたくて両手をワキワキしている。


九尾の狐「拒否は出来ぬ様じゃなぁ。はぁ~。」

溜め息をひとつ。

九尾の狐「承知した。」


サクラ「ヒナ、名前を付けてね、契約するわ。」

ヒナ「じゃーねー。『キュウ』ちゃんにする。」

ああ~。ヒナも俺と一緒でネーミングセンス無いのね。


サクラ「九尾の狐よ、汝は此方こなたヒナの使い魔『キュウ』として従いなさい。使い魔契約!」

ヒナから淡い赤の光線がキュウに伸びる。

ヒナとキュウは淡く輝き、やがて光は消えていく。


ヒナ「キュウちゃん小さくなっておいで!」

ヒナは両手を伸ばす。

キュウは赤ちゃん狐ぐらい小さくなって、ヒナの胸に飛び込んだ。

ヒナは嬉しそうにキュウを抱き抱えナデナデする。


サクラ「次はユイね。」

ユイ「私はねー。火の鳥がいいな!」

「火の鳥?朱雀や鳳凰とは違うのかな?」

サクラ「不死鳥フェニックスね。朱雀や鳳凰と違うわよ。」

ハピ「不死鳥フェニックスなら鳥だから、私が召喚するわよー。」

サクラ「そうね。鳳凰のハピなら間違いないわ、宜しくねー。」


ハピ「不死鳥フェニックスよ!おいでー。召喚!」

随分あっさりした詠唱だな。おい。まあ、ハピらしいか。


ハピの魔力が召喚の間の魔力と同調して魔方陣で渦巻く。

一瞬の赤い閃光。

同時に熱い風、熱波が魔方陣より吹き荒れる。

閃光が消えると、魔方陣の中央には火の鳥がいた。

姿は鷲。黄色、赤、紫、オレンジの炎を身に纏う。


火の鳥「お呼びでしょうか。」

ハピ「この子の使い魔になってね。宜しくー。」

火の鳥「随分くだけた鳳凰様ですな。否はありません。」


ユイ「名前はねー。『フェン』にするー。」

あぁ~。この子もネーミングセンス無いのね。


サクラ「不死鳥フェニックスよ、汝は此方ユイの使い魔『フェン』として従いなさい。使い魔契約!」

ユイから淡い赤の光線がフェンに伸びる。

ユイとフェンは淡く輝き、やがて光は消えていく。


ユイ「フェンおいで!」


フェンは小鳥の大きさになり飛んできた。

そしてユイの右肩の上に止まった。


九尾の狐と不死鳥フェニックスが仲間入りした。

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