第141話 VSエルフ軍(その5)

荒野に進軍してきたエルフ軍。

俺の妻達、コボルトの兄弟、精霊達に蹂躙されていた。


遥か格上の存在。

精霊王。不死王。四霊獣。四聖獣。

ヌエ、コボルトエンペラー。

ケルベロス。

スペクターエンペラー。

吸血鬼真祖。魔女。


見た事もない巨大な存在。

アリアロボ。


逃げようとする者も多くなってきた。


するとエルフ軍を濃紺の岩の壁が囲む。


蛇王リザルドの身体が巨大化しエルフ軍を囲んでいたのだ。


エルフ達はリザルドに触るだけで毒に侵されていく。


リザルド「逃げるなよ!寄生虫ども!」


リザルドの重厚な低い声がエルフ軍に響く。


エリトア「まさか世界蛇ヨルムンガンドか?」


リザルド「そうよ我は世界蛇ヨルムンガンド!

寄生虫どもの親玉か!覚悟せい!」


リザルドの赤い瞳がエリトアを睨む。

エリトアの足が動かなくなった。


エリトア「これほどの陣容が揃っているとは・・・。敵の一人だけでも我々に勝ち目は無い。」


エルフ兵「エリトア様!我々は何と戦っているのですか?」


エリトア「・・・。」


エルフ兵「エリトア様!我々は何のために戦うのですか?

なぜ世界樹様と戦っているのでしょうか?」


エリトア「・・・。」


エリトアは砦を見ると、妖精族長老フェルリを見つけ叫ぶ。

エリトア「フェルリー!」


フェルリが転移でエリトアの前に現れる。


フェルリ「どうしたのじゃ、エリトア?」


エリトア「これはいったいどういう事だ。」


フェルリ「これはおかしな事を尋ねるのぅ。

精霊王である世界樹レイ様が仰ってた通りよ。

エルフ達は罰を受けてるのじゃ。」


エリトアは近くにいた老エルフに尋ねる。


エリトア「エルジン、エルフは世界樹を守護してきた。

世界樹はエルフのものでは無いのか?」


エルジン「元々世界樹は精霊達と共にいました。エルフと妖精が精霊達を捕獲し、エルフが世界樹を手に入れたのです。その時に妖精と約束し世界樹の素材を毎年妖精に渡しておりました。」


エリトア「エルフは世界樹を大切に御守りしていたのでは無いのか?」


フェルリ「世界樹様の素材に関する利権を独り占めしていただけじゃよ。世界樹様を傷付けて得た素材の一部を妖精族に売っていたがの。そのために結界を張って他者を遠ざけていた。」


エリトア「それなら妖精族も共犯だろう。」


フェルリ「そうじゃ。妖精族も共犯よ。世界樹様に誠心誠意謝罪し妖精族は禊の時を過ごしておる。世界樹様の夫である樹海の王ヒロト様の配下になり、身も心も捧げて忠誠を誓った。」


エリトア「樹海の王はたかが人間だぞ!」


フェルリ「その考えがいかんのじゃ。エルフ至上主義はエルフの身を滅ぼすものと思え。」


エリトア「我はエルフの中でも最上位のハイエルフ。人間なんぞに下げる頭は無い!」


「そういう考えなのかい。」


エリトア「貴様は誰だ!」


「樹海帝国の皇帝ヒロトだ!」


エリトア「ふん。人間ごときが樹海の王とは、片腹痛いわ。」


「あ、そう。それでどうする?」


俺は右手をムラマサに添える。

右足を半歩前に出す。

半身になり抜き打ちの体勢で構える。

ムラマサの魔力が俺を包む。


エリトアは渾身の精霊力でルシーの呪縛を破る。


そして素早く腰の剣を抜くと俺に斬りかかる。

つもりだったんだろうな。

俺はエリトアが腰の剣を握った瞬間。

剣を握った右腕ごと水平にムラマサで薙ぐ。

エリトアの身体は上下に分かれて崩れ落ちた。

隣にいた老エルフ、エルジンの身体も上下に別れていた。


周りの地獄の蹂躙は終わった。


レベルアップのメッセージが流れていく。

経験値をいっぱい貰ったなぁ。


勿論この戦場はダンジョン化してましたよ。

ダンジョンポイントもタップリ貰いました。

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