第132話 VS連合軍(その3)

念話はシルミル教国の教皇庁食堂を映す。

「スパ、やっと教皇庁にも小蜘蛛が潜入できたんだね。」

スパ「はい。シルミル教国も全て監視下に入っています。」


教皇「料理長を呼べ!」

執事「はい。只今。」

執事は料理長を連れてきた。


教皇「なんだ!この料理は!

最近味が落ちてるぞ。

ワインの味も落ちてる。

前に飲んでたワインを持ってこい!」


料理長「申し訳ございません。

以前好んで飲まれていたワインは、樹海王国産の物。

現在は手に入りません。」


教皇「ぬぬ。料理はどうした。」


料理長「教皇様が好まれていた食材も樹海王国産。

現在手に入りません。

教国産の最高級品にて対応しております。」


教皇「ぐぬぬ。

貴様の腕が悪いんじゃないか?

素材の分は腕でカバーしろ!」


料理長「申し訳ございません。

これ以上はご期待に応える自信がありません。

辞めさせていただきます。

今まで有難うございました。」

料理長は頭を下げて去った。


教皇「何とかならんのか?」


執事「樹海王国の食材は天下一品。

輸入再開なくして、食事の質の向上は見込めません。」


教皇「はやく樹海の王を倒して、食材も手に入れないとな。

もっと腕のよい替わりの料理長を探しておけ。

シレオマ達は何をやってるんだ?」


執事「承知しました。」


執事は教皇に聞こえないように独り言を呟く。

執事「あの料理長以上の人はこの国にはいません。

私もここを去った方が良さそうだ。

このままなら命があぶない。」


「こりゃ執事も辞めるな。」

ヒナ「辞めるね。」


ユイ「あの料理長って凄腕なんだよ。もったいない。」


「そうか。スパ、接触して樹海王国にスカウトしてきて。」


スパ「承知しました。ヤグル達に任せましょう。」


「そうだね。ヤグル達の『闇の風』が適任だね。」


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続いて念話は帝国の皇帝の執務室を映す。


皇帝と宰相が会話している。

宰相「国王達や貴族達から不満が溢れています。」


皇帝「樹海王国の食材、酒、素材が入って来ない件だな。」

宰相「そうです。」


皇帝「マシランより伝令があった。

樹海王国は結界で覆われていて進軍出来ないらしい。

魔王認定は早まったな。

商人達は出入り出来ないのか?」


宰相「現在、樹海王国に侵入出来る経路が無いか調査中ですが、どこからも入る事が出来ません。商人でさえも一切出入り出来ず。完全に交流を断っています。」


皇帝「そんなことが可能なのか?」


宰相「我々の技術では不可能ですが、実際広大な領地を囲う鉄壁の結界があります。」


皇帝「むむ。我々より高い技術力があるということだな。

古代兵器でさえ弾く鉄壁の結界か。

厄介だな。

作物が実らなくなったのも頭が痛いところだ。

どうしたものか・・・。」


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商業国家トレセル。


王「まずい、不味いぞ。樹海王国の素材や食材が一切入って来なくなった。各国からクレーム続出だ。」


宰相「我が国の経済に大打撃でございます。」


王「何とかならんのか?」


宰相「帝国と協力して樹海王国に入るルートを探っていますが、今のところは見つかっていません。」


王「樹海王国と会話すら出来んぞ。」


宰相「左様でございますな。」


王「打開策がなにも浮かばぬ。

牧場の動物がいなくなり、作物が実らなくなったらしい。

帝国から輸入する食糧も今後少なくなる。

食糧の買い占めを急げ。」


大臣「はい。承知しました。」


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狩猟国家ハンテグ。


狩猟国家ハンテグはケンタウルス族の部族国家。


ケンタウルス族は馬の首の部分に人間の上半身がある。


弓が得意で下半身が馬のため、機動力が高い。


亜人であることから連合軍には参加していない。


族長「獲物が全くいなくなったな。」


部族の狩人達と狩りに出ているが、ここ数日は獲物の影すら見ていない。


狩人A「鳥さえいなくなりました。」

族長「何かが起こっているのか。」


狩人A「不吉ですな。」

族長「また今日もトレセルから食糧を購入するしかないな。」

狩人A「本当に困った事態です。」

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