第131話 VS連合軍(その2)

ステラド帝国から樹海帝国に進む草原。

樹海帝国結界の前で成す術の無い10万の連合軍。


シルミル教国の聖騎士シレオマとステラド帝国の将軍マシランの会話は続く。


マシラン「この結界は凄いな。

流石深淵の魔女と言うところか。

これほど広大な範囲に強力な結界を張れるとは。

樹海王国には、どこからも入れなくなっているぞ。」


シレオマ「そうらしいな、交流は一切無くなった。

商人や旅人。

全ての人が樹海帝国に入れなくなった。

信じられない。こんな事が可能なのか?

樹海王国の素材や食材、各種物資は輸入出来なくなった。」


マシラン「樹海王国相手に商売していた商人は大打撃だよ。

帝国の大手商会が軒並み悲鳴を上げている。

貴族達からもクレーム続出だ。

樹海王国の食材やアルコールが入手出来なくなったからな。」


シレオマ「何が言いたい?」

マシラン「教国も同じだろう?

むしろ教国の方が厳しいはずだ。


元々広大な農場を持ち食糧が豊富なガラード王国から

食糧や調味料を輸入していた教国だ。


食糧、特に塩が入手出来ないと教国は厳しいだろう。

帝国から支援出来る量にも限度があるぞ。」


シレオマ「それは分かっている。

だからこの結界を早めに壊す必要があるのだ。」


マシラン「どうやって壊す?

帝国の古代兵器でも壊れなかった。

教国や魔法国家ソルセルの魔法でもダメ。

穴を掘って見たが、地中にまで結界があった。

空からも侵入出来ず。

打つ手が思い付かん。」


シレオマ「・・・。」

マシラン「このままここに駐留するだけで、食糧を大量に消費していく・・・。」


シレオマ「それで?」


マシラン「樹海王国に宣戦布告してから問題が発生している。

作物が育たなくなった。

原因が全く分からない。

また、動物や魔物がいなくなった。

牧場の動物や魔物も減っている。

深刻な食糧難だ。」


シレオマ「それは教国も同じだ。」


マシラン「ここから私の魔眼モノクルで樹海王国を見ると、作物が大量に実っているのが見える。

住民達は普通の生活をしている。

樹海王国だけは問題はないみたいだぞ。」


シレオマ「何!すると食物が育たず動物がいないのは、樹海王国の仕業か。」


マシラン「恐らくそうだろうな。

このまま結界を壊せないとステラド帝国、シルミル教国、小国群は飢饉で滅亡するな。」


シレオマ「結界を早急になんとかしないと!」


マシラン「シレオマ!樹海の王は本当に魔王だったのか?」

シレオマ「それ以外は考えられん。」


マシラン「樹海の王に会ったのか?

帝国の情報では樹海の王は人間だ。

人間は魔王になれん。」


シレオマ「ふん。

それなら何故、魔王認定に賛同した。」


マシラン「勿論、領土の拡大と豊富な資源の獲得のためだ。

魔王だろうが、人間だろうが開戦の理由が必要だっただけだよ。」


シレオマ「今更遅いぞ。」


マシラン「分かっている。

宣戦布告したのだ。

なかった事には出来ん。」


二人は結界と、結界の向こうに透けて見える樹海王国軍を見ている事しか出来なくなっていた。


俺達は念話で二人の会話を聞いている。


「割りと早めに降参しそうだな」

ヒナ「変な戦争だねー。

平和でいいけど。」


ライゾウ「つまらんな。」


アリア「いいじゃない。

血を流さないのは良いことだわ。」


ライゾウ「むむー。」

ライゾウは不服そうだ。

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