第129話 鎖国(その2)
「鎖国します!」
一同「はあぁ?鎖国?」
「クルーマ族とヴォジャノーイ族の集落は湿原領とする。
そして樹海王国の領地を調度四角になるようにする。
多少足りない部分やはみ出す部分は、交渉で何とかしたいが、駄目ならしょうがないので武力をもって占領する。
その上で樹海王国全体に四霊獣結界を拡張する。
結界拡張後は他国との交流を一切禁じる。」
「デレイズ、今まで他国へ輸出していた物は樹海王国で全て買い取ってくれ。ハクの異次元に入れておく。異次元に保存しておけば腐らないし、時期が来れば売れるだろう。」
デレイズ「承知しました。」
デレイズは返事をした後、右手を顎の下に置き考える。
デレイズ「なるほど!」
ヒナ「何がなるほどなのかしら?」
デレイズ「まず、小国群は干上がりますな。
ガラード王国時代から食糧を輸入していた国々が多いので、食糧難になるでしょう。
次にシルミル教国は『塩』が不足します。
それらはステラド帝国がカバー出来る量ではありません。
また、3勢力の中心部だったガラード領を通れなくなると、流通は混乱し滞る。
3勢力は仲違いするでしょうな。」
ヴァンス「そして樹海王国の美味しい食事も忘れないように!」
ヒナ「何の事?」
ヴァンス「今や樹海王国の周辺の国には、樹海王国から良質の食材やアルコールが流れている。
これが全てSTOPしたら、各国の政府は富豪達から猛反発をくらうだろうよ。」
デレイズ「向こうの国から謝罪してくるだろう。」
ガラール「確かに!昔の食事には戻れないよ。」
「それから一方的に悪者にされて、宣戦布告された事は気分が悪いので、意地悪をしたい。
鎖国の次の戦略だが、まず、ビーが各国の蜂達を全てダンジョンに集めてくれ。」
ビー「分かりました。」
「そして、ハピは鳥を、コボミは獣を各国からダンジョンに出来るだけ移動させてくれ。」
ハピ「分かったー。敵国に鳥が居なくなるまで集めるよ。鳥の王だから楽勝だよー。」
コボミ「承知しました。猫一匹残さず連れてきます。」
サクラ「あらら、意地悪だねぇ。」
アリア「何で意地悪なの?
どうしてそんなことするのか分からないわ。」
サクラ「鳥と獣が居なくなると肉が極端に少なくなる。
狩猟民族は大打撃でしょうね。
そして鳥と蜂が居なくなると、作物は実を着けなくなるわ。
受粉しなくなるのよ。」
アリア「受粉?」
サクラ「花が咲く植物は雄しべと雌しべというものがあって。
蜜蜂が花の蜜を集めるとき、雌しべに雄しべの花粉をつけるのよ。
それが受粉。
受粉することによって植物は実をつけるの。
植物が実を着けなくなると、食糧難は進むでしょうね。」
アリア「そうなっているんですね。
流石ヒロト様と深淵の魔女様。」
「今回はここまでかな。
この後でイナゴの大群でも放てば滅亡するだろうね。
そこまではしないけどね。」
デレイズ「怖い戦略です。
樹海王国はダンジョン牧場、ダンジョン農場があるので、美味しい物を食べながら飢えていく敵を見てるだけですね。」
ヒナ「うわー。酷い。」
「それが戦争だよ。」
リザルド「古龍はどうする?」
「会いにいってみる。」
リザルド「是非同行させてもらうぞ。」
「ん?」
ハク「おとうさんは古龍とは因縁があるのよ。」
「因縁?」
ハク「昔古龍と喧嘩したのよ。」
「古龍にもリベンジ?」
リザルド「失礼な!引き分けだ!」
「いいよ、リザルドの同行を許可する。」
リザルド「よっしゃ。」
「でも戦うかどうかは俺が決めるからね。」
リザルド「うむ。仕方がない。」
「良し、会議は終了だ。
皆仕事に戻ってくれ。
ユイはヒナとサクラにレベ上げを手伝って貰ってね。」
ヒナ、サクラ「「はーい。」」
ユイ「有難う!宜しくね。」
「ヒナはリンダと連絡とって、四霊獣結界の移動が最優先だよ。」
ヒナ「はいよ。」
「サクラは」
サクラ「四霊獣結界の拡大と再構築でしょ、OKよ。」
「そそ。御願いね。」
ユイ「私は何処かのタイミングでタクミと会話したいわ。」
「うん。原則了解だけど時期はちょっと待ってくれ。」
ユイ「了解。」
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