第124話 VS勇者(その3)

俺達は惨劇の後に転移してきた。

コボ2「樹海の王様、すいません賊を取り逃がしてしまいました。」

「大丈夫。小蜘蛛達とサクラの使い魔である黒猫のミサキが追っている。」


倒れているユイを見る。

「それよりこの子どうしよう。」

ヒナ「取り敢えず蘇らせましょう。」

「そうだね。ルシー頼む。」

ルシー「了解。」


ルシーはユイを蘇らせた。

ユイは勇者の力のためか、魔法の素質からかリッチとなって蘇った。


ユイ「え、え、どうなってるの?」

「俺は樹海の王ヒロト、後ろにいるのは妻達だ。君は一度死んだ。そして蘇らせた。」

ユイ「王!妻達?死・ん・だ・・・。」


ユイはリッチになった自分の身体を見る。

ユイ「この身体は?あああああ。

私は魔物になったのね。」

ユイは骸骨の身体に驚いて泣き出した。


ルシー「大丈夫よ、リッチには人化のスキルがあるでしょ。人間の姿に戻れるわ。」

ユイは人化のスキルを発動した。


ユイ「本当だ!良かった。」

ユイは元の人間の姿に戻っていた。


「ルシー、亡くなったゴブリンやコボルトも蘇らせてくれ。」

ルシー「分かった。」

ルシーはゴブリンやコボルト達も蘇らせた。

ゴブリンやコボルトはスケルトンやファントムとして蘇った。


「ところでユイさん、何でゴブリンを殺したんだい?」

ユイ「女の子が襲われると思ったの、でも・・・。」

ユイは辺りを見回した。


ケルベロスが寝そべって目を閉じている。

蘇った魔物達と町の人間達が抱き合って喜んでいるのが見えた。

ユイ「勘違いだったみたいね。」


「そうか、この町に亜人や魔物が住んでる事は、門番のオーク達が説明するんだが、門を通らないで侵入したんだったね。」


ユイ「知ってたのですね。隠れて侵入して住民を殺したなんて犯罪ですよね。通り魔ですね。すいませんでした。」

「謝るならゴブリン達に謝ってね。」


ユイは蘇ったゴブリン達もとに走り、必死に謝っている。

ゴブリン達は許したようだ。


ユイが戻ってきた。

ヒナ「あなた、日本人?」


ユイ「え!にほん・じん・ですけど・・・。」

ヒナ「私も異世界転移者で日本人なのよ。」

ユイ「そうなんですか!」


「俺もだよ。」

サクラ「私もよ。」

ユイ「えー。本当ですか?」


ヒナ「ホント、ホント。ラーメン、カレーライス、寿司、焼き肉が食べられるよー。しかも日本より美味しいよー」

ユイ「うわっ!もしかしたら会話が筒抜けだったの?」


ヒナ「そそ、隠蔽で消えちゃったので慌てて探してたら、事件が起きてた。焼き鳥盗んだのも知ってるよー。後でお金払いなさいよ。」

ユイ「はい。すいません。」


コボ2「無銭飲食に通り魔だ。勇者ってろくでもないな。」

ユイ「・・・。」

ユイは何も言えない。


ヒナ「コボ2、そんな事言わないで、反省してるわ。」

コボ2「反省してもやったことは変わらないよ。」


サクラ「そこまでにしようよ。」

コボ2「ふん。」


ヒナ「日本食を食べたいんでしょ。」

ユイ「魔物になったんだけど、食べられるの?」


ルシー「リッチクラスだと味覚も元通りになれるから、美味しく食べられるよ。しかもいくらでも食べられるし太らない!」

ユイ「本当ですか?最高じゃないですか!」


こうして世にも珍しいリッチの勇者が誕生した。

ユイは暫くヒナとサクラと一緒に過ごすそうだ。

女子トークが弾む事だろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る