第119話 勇者

「スパ、ガラード王国とシルミル教国の戦況はどうだい?」

スパの眷属、アラクネ、アラクネシーフ、アラクネクイーン達は、自分の眷属達とその分身である小蜘蛛達を放ち情報を収集し、念話による映像と音声を自由に伝える事が出来る。


スパに隠し事はできない。

するつもりはないけど、浮気は出来ないよ。

大陸中に隠しカメラと隠しマイクがあるのと同じだ。


スッと忍者の様にスパが現れる。

なんだか服装も忍者っぽくなってる。

きっとヒナかサクラの影響だな。


スパ「数の多いガラード王国軍が順調にシルミル教国軍を倒して、王都奪回に向けて進軍中です。」

スパは説明しながら、念話で状況を映し出す。


進軍中のガラード王国軍が見える。

しかし遅いな。

やっぱり人間が歩いて進軍する様をみても面白くない。


「王都にはあとどのくらいで付くのかな?」

スパ「7日くらい掛かるでしょう。」


「かなり日数がかかるね。教国の様子はどんな感じ?」

スパ「教国は首都に小蜘蛛を侵入させていますが、教皇庁は警備が厳しくて侵入は出来ていません。」


「そか。しょうが無いね。闇の風を密偵に放とう。」

闇の風はガラード王国の諜報部隊だったが、ヒロトを殺害しようとしたため、部隊長ヤグルをはじめ殆どの隊員をスパ、コボミが殺害後、ルシーの死霊魔法で蘇らせ眷属化している。


ヒナが闇の風隊長ヤグルをダンジョン転移で呼び出す。

「小蜘蛛達はある程度まで、どこでも侵入出来るが見たり聞いたりしかできない。闇の風は侵入は制限されるが、直接話をして聞き出せるので、お互い補完しあって密偵を進めてくれ。」

スパ、ヤグル「「はい。承知しました。」」


「ところで、教国には勇者はいるのかい。」

スパ「はい。つい先日異世界より召喚されました。まだレベルが低いので、戦争には同行しておりません。」


「先日?なぜ急に召喚したんだろう?」

俺達を倒す為かね。まさか。

スパ「以前召喚に失敗し、再度召喚を行う準備に時間がかかり先日になったようです。」


「失敗!いつ頃の話だ?」

スパの話を聞くと俺が異世界転移した頃に失敗したらしい。


ハク「あの時、なんか神々しい光が見えたので行ってみたら、ヒロトがいたんだよー。」

「むむー。俺って教国に召喚された勇者だったのかもしれないね。」


スパ「その辺りはもっと詳しく」

ヤグル「探ります!」


「勇者召喚失敗の件は調査して貰うとして、召喚された勇者の話をもっと詳しく教えてくれ。」


スパ1が現在把握している情報を聞いた。

・召喚された勇者は2名。男と女。

・男の名前はタクミ。

・女の名前はユイ。

・二人共に年齢は十代前半。

・男の勇者は剣の勇者。

 聖剣を持っている。

・女の勇者は魔法の勇者。

・聖騎士と聖女がパーティメンバー。

・近々剣聖アバンニも加わる予定。


ヒナ「名前からすると日本人ね。」

「そうだねー。年齢はヒナに近いかも。」


ヒナ「一度会話してみたいな。」

「機会があればね。」


サクラ「勇者は魔王を倒すと教国に殺されるからね。

殺される前に会わないと。」

ヒナ「え!殺されるの?なんで?」


サクラ「魔王は勇者じゃないと殺せないのよ。それで魔王が出現したら勇者召喚されるんだけど。大抵勇者は俺Tueeeだから、性格が最悪なのよ。今までまともな勇者を見たことないわ。」

ヒナ「性格が良ければ、殺されないの?」


サクラ「それも難しいかなぁ。魔王を倒した勇者って凄く強くなるから、人間達は恐れるんだよね。一番はじめの勇者がそうだったんだけど、国を乗っ取っちゃったのよ。それで聖騎士をメンバーに入れて用がなくなれば・・・・・。」

サクラは右の人指し指で首を切る真似をする。

「うへー。」


サクラ「ヒロトがもし勇者だったら、ヒロトの様な性格は今までいなかったよ。」

ヒナ「そうなんだー。」


「勇者の性格を見てから、会う、会わないを考えた方が良さそうだね。」

ヒナ「そうだねー。」


「剣聖アバンニは勇者パーティに入るんだね。」

リザ「まあ、実力は大したことなかったので、問題ありません。」


「スパとヤグルは、勇者の事も含めて密偵を進めてくれ。」

スパ、ヤグル「「はい。承知しました。」」

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