第110話 VS魔王軍(その2)

オニバルはガランドと向かい合っていた。

オニバル「樹海王国将軍のオニバルだ!ガランド、勝負!」


ガランド「ほほう。なかなかやりそうなリビングアーマーだな。」

オニバル「俺はアンデットナイトだ。お前を倒す。」


ガランド「美味しそうなオークの仮面じゃないか。」

オニバル「仲間達の恨みをはらさせて貰うぞ!」

オニバルが剣を中段に構える。


ガランド「もとがオークなのか。食い物が生意気を言うな。リビングアーマーはこの棍棒で何匹も潰してきたぞ。」

ガランドは棍棒を振り上げる。


オニバルは棍棒と大剣で力比べをしても、負ける気はしなかったが、何か違うと思い始めていた。


今まで見てきた戦いは、力比べだった。

剣を振る速さ、それが速い方が勝つ。

剣と剣がぶつかったときの力強さ。

力が強い方が勝つ。そんな戦い。

剣と剣をぶつけないのは弱いと思われていた。

びびってる。そう思ってた。


オニバルはヒロトの戦いを思い浮かべる。

ヒロトの戦いは違った。

躱して斬る。躱しながら斬る。

振り下ろした剣。

を持つ手を下から切り上げる。

その後、上げた刀を振り下ろして首を斬る。


薙ぎ払った剣。躱して指を斬る。

相手は剣を落とす。そこを斬る。


びびってるないし、弱くない。

ヒロトの戦闘の仕方は、ヒロトの戦争の仕方と良く似ている。

『勝つべきして勝つ。』そんな戦い。

格好いいと思った。

これが俺の理想の剣かも知れない。

そう思い始めた。


それが稀代の剣聖の目覚めだったのかも知れない・・・。


ガランドは棍棒を振り下ろす。

オニバルも大剣を振り下ろすだろうと思っていた。

大剣を弾き飛ばす。そんな勢いが有った。


しかしオニバルは中段に構えたまま微動だにしない。

びびったな。そう思った。

兜から全身を殴り潰す・・・。

つもりだった。


棍棒がオニバルの兜に当たる瞬間。

オニバルはぶれた。

そこにオニバルはいなかった。


横に躱したオニバルは剣を振り上げていた。

すっぽ抜けた感じで体勢を崩したガランド。

ガランドの両手をオニバルは斬り落とした。

そして剣を下から上に振り上げ。

ガランドの首を斬った。


一瞬の出来事だった。


オニバルは集中していたのか。

斬った瞬間まで、音が全く聞こえてなかった。

そして斬った後、周りの声が聞こえる。


オーガ兵A「ガランド様が死んだ。」

オーガ兵B「どうなってるんだ?」


オーク兵「勝ったぞ!オニバル様がガランドを倒したぁ!」


オーガ達はガランドの眷属化が解除されて戸惑い始めた。

ガランド軍は崩れ始めた。


オニバル「勝った・・・。」

オニバルはヒロトの戦いを剣をもっと見たいと思った。

そして剣で戦う術を教えて欲しいと思った。


ヒロトは後方でオーガキングと向かい合っていた。

オーガキングは急に構えを解き戸惑う。


「オニバル様がガランドを倒した!」

前方よりそんな声が聞こえた。


ガランドの眷属のくびきが外れた事を知る。

オーガキングに向かって「テイム!」と叫ぶ。

オーガキングはヒロトの眷属になった。


「おい、お前の名前をオガ1とする。

オーガ達を眷属にして纏めろ。」

オガ1「承知しました。」


(みんな!戦いは終わった。

オーガ達は俺の眷属にする。

負傷してる仲間を救護部屋に送れ。

そして全員領地に戻れ。)


「ヒナ、ダンジョン機能で他のオーガキングがどこにいるか分かるか?」

ヒナ「分かるよー。」

ヒナに案内されてオーガキングのところに出向き、眷属とする。


オーガキングは全部で3匹生き残っていた。

全員眷属にした。そして生き残ったオーガを眷属とするよう指示した。

オーガキング3匹は、オガ1、オガ2、オガ3にした。

名前の上書きだ。


ガランド軍との戦いは終わった。

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