第102話 獣人国VS魔王軍(その1)

ガネーシャの了解を得て、

ガネーシャと宰相リキンス、

将軍グンゴルの会談は

ライヴ中継することにした。


ガネーシャの屋敷の応接室。

一人掛けソファーに

象の獣人ガネーシャが座る。


向の二人掛けソファーに

狐の獣人宰相リキンス、

ゴリラの獣人将軍グンゴルが座る。


リキンス「ガネーシャ伯爵、

考え直せ獣人国の危機だぞ。

協力しろ仲間だろ。」


ガネーシャ「もう伯爵ではない。

俺は先祖代々受け継がれし領地の民を守るため、

最良の選択をした。

考えを変える気はない。

俺が兵を送っても獣人国は負ける。」


グンゴル「そんな事は

やってみないと分からんじゃないか。」


ガネーシャ「それがダメなんだ。

戦う前から結果は分かる。

ガランド軍は何人いた?」


グンゴル「3万ぐらいだろ?」

ガネーシャ「5万だ。」


グンゴル「5万?それがなんだ!

戦は数じゃない。」


ガネーシャ「ヒロト王は凄いぞ。


『敵を知り己を知れば百回戦っても勝つ。

敵を知らず己を知れば勝ったり負けたり。

敵を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず危うい。』


ヒロト王の国の言葉だそうだ。

ヒロト王は今まで負けた事がない。

それは強いからじゃない。

敵軍の情報を集め、

敵軍の戦力と自軍の戦力を比較検討し、

勝つ算段が着いてから戦争を起こしている。

または戦争が起こる前までに勝つための準備をするのだ。

勝つための準備が終わらないうちは戦わない。

勝つべき事をして勝ってるのだ。」


(ハク、ちょっとガネーシャ持ち上げ過ぎだよね。

そんなに準備してないぞ。

行き当たりばったりで戦う事もあったよね。)


ハク(結果が証明してるのよ。)


ヒナ(なんかヒロトは天才軍師のようね。)


(ね~。そんなに頭良くないってば。

必死だったんだよ。)



グンゴル「そんなに上手くいくか、

戦いには思ってもいないことが起きるのだ。」


ガネーシャ「思ってもいないことは起きない。

始めの想定が足りんのだ。


ヒロト王は、ゴブリン軍に勝ち。

オーク軍に勝ち。

ガラード王国に勝ち。

5万のオーク軍でさえ攻めあぐねた妖精族を一瞬で倒した。

結果が証明しているぞ。


俺はオーク軍に敗退しヒロト王に助けられた。

その後、樹海王国の軍議に参加する機会を得た事がある。

敵の情報を調べ尽くしてるよ。

そして数々の想定をしている。


我々獣人は行き当たりばったりさ。

敵軍の情報は集めない。

勝つか負けるか運次第。

そんな戦いに大事な民の命は賭けられない。

リキンス、君も領主だ。

戦争に負けたら民は蹂躙されるぞ。

そんな運任せの戦争に、全てを賭けるのか?」


(獣人国の戦争の遣り方は酷いね。

まるでかぁっとなってケンカするようだ。)

サクラ(昔から獣人達は出たとこ勝負だからな。)


リキンス「うーむ。」

リキンスは考え込む。

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