第96話 ガーゴイル(その2)

ガル村に行くと、狛犬が村の入口の両脇の台の上に座っていた。


「神社にある奴とそっくりだ。」

サクラ「そうでしょ。」


「ちゃんと阿吽あうんになってるね。」

サクラ「かわいいでしょ。」

「いや可愛くはないでしょ。むしろかっこいい。」

サクラ「ブサ可愛いのよ。」


吽行うんぎょうだけ角があるね。」

サクラ「そうなの。

日本でも色々な形があってね。

両方角が無いパターンとかもあるんだけど、このパターンも有るのよ。

阿行あぎょうは口を開いてるでしょ。」

「そうだね。」


サクラ「阿行あぎょうは噛みつける様にしたんだけど、吽行うんぎょうは口を閉じてるから角で攻撃する事にしたのよ。

日本ではこのパターンの時、阿行あぎょうを獅子像、吽行うんぎょうを狛犬像と言うらしいよ。」

「おぉ、物識りだね。」


ヒナが狛犬像を撫でていた。

ヒナ「動くんでしょー?」

サクラ「もちろん!ゴーレムと同じ自律型よ」

阿行あぎょう「動きますよ。」

阿行あぎょうが喋り、台から飛び降りてきた。


「おお!話せるんだ!」

吽行うんぎょうも身を震わせる。

ヒナが驚いて手を引っ込めると、

台から飛び降りて来て座る。

吽行うんぎょう「知らない人が来たら門番をします。」

「すごいね。戦闘力はどうかな?」

ヒナ「昼食用にエリュマントス出しちゃうか。」

「いいね。サクラ、大丈夫?」

サクラ「全く問題ないよ。」


ヒナはダンジョンスキルで、

狛犬達の前にエリュマントスを出現させる。

エリュマントスは狛犬達を睨むと、

前足で土を削り身構える。


吽行うんぎょうが正面から角でエリュマントスに突き込む。

同時に阿行あぎょうが右にひとっ飛び、

エリュマントスの左から喉に噛みつき、噛み千切る。

吽行うんぎょうの角はエリュマントスの下から

首に刺さっていた。

エリュマントスの首から上が一瞬のうちに千切れていた。


「おー!強いね。」

エリュマントスの死体を異次元収納する。

サクラ「そうでしょう。」

サクラは自慢気だ。


「村に入るよ。」

狛犬達に告げると、狛犬達は台座に戻った。

吽行うんぎょう「どうぞお通りください。王様。」


「狐も村にいるの?」

サクラ「いるよー。村長の家だよ。」


村長の家に向かう事にした。

村を歩いていると、コボルトやゴブリンを見掛ける。

コボルトやゴブリンを俺達を見ると立ち止まり頭を下げる。


「随分魔物達も多くなったね。」

アリア「村に住んでるコボルトやゴブリンもいますよ。」

「いいね。」


村長の家につくと門の両脇に台座があり、狐の像があった。

狐の像も石造り。

狛犬よりもスリムで若干身長が高いようだ。

狛犬と同じく後ろ足を曲げて座っている。


「狐の吽行うんぎょうは玉をくわえているね。」

サクラ「角が無いからね。

玉から魔法を放つようにしたのよ。

日本の稲荷神社の狐も色々くわえている像もあって、玉の他に稲穂、巻物、鍵等をくわえているんだ。

戦闘力は狛犬とほぼ変わらないわ。

探索なども行う仕様よ。」


「なるほどー。

ガーゴイルは他ににも設置したの?」

サクラ「あと10体くらいかな。」

「そんなに?」

サクラ「助けに来るまで防衛してもらうからね。」


「どこにいるの?」

サクラは近くの家の屋根の上を指差す。

サクラ「屋根の上。」


「ほんとだー。悪魔の形。

これぞガーゴイルって感じだ。

羽が有るけど飛ぶの?」


大きさは人間ぐらい、

座っているのではっきりしないが、

恐らく150cmくらいのガーゴイルがあちらこちらの屋根の上にいた。

サクラ「飛ぶよー。おいで!」


ガーゴイルはサクラのもとに飛んできた。

羽ばたきはしない。魔法の浮遊、飛行を発動させたようだ。


「おお!結構大きいね。」

サクラ「160cmぐらいかな。」


「どんな機能があるの?」

サクラ「そんなにないよ。

ファイアボール、あとは牙と爪ぐらい」

「まあ、空から攻撃するだけで

アドバンテージがあるからね。

素材は石?」

サクラ「大部分が石だけど、

魔石の周りだけオリハルコンにした。」


「いいねー。

このタイプのガーゴイルは、

樹海の他の集落にも配備しようかな。

サクラ以外も造れる?」

サクラ「今教えてるダークエルフの子達は出来ると思うよ。」


「よし、配備しよう。」

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