第93話 VS妖精族(その2)

サクラ「もう少しで長老の集落よ。」

一人の妖精が凄い勢いで飛んで来た。


俺の前に止まって浮かんでいる。

フェアル「妖精族将軍のフェアルだ!

お前らっ・・・。」

フェアルが何か言おうとしたが無視して、フェルリの入っている妖精ホイホイを投げた。

フェアルは妖精ホイホイに吸い込まれた。

フェアル「何者だ!」

フェアルが妖精ホイホイの中から叫ぶ。


「樹海の王ヒロトだ。

隣のばあさんに宣戦布告されたので受けた。詳細は隣のばあさんに聞け。」


フェアル「ばあちゃん、どういうことだ?この玉はなんだ?」

フェルリ「喧嘩を売ってきたが拙速じゃった。これ程の奴等とは思わんかったのじゃ。

エルフに騙されたようじゃ。

この玉は深淵の魔女様の魔道具よ。

ここからは出られん。

魔法も使えん。

深淵の魔女様は樹海の王の嫁じゃ。

魔女様の魔道具は全て使えんようになった。」


フェアル「魔女様が!」

フェルリ「それだけじゃない。

不死王、精霊王、エキドナ、

コボルトエンペラー、ケルベロス、

エンシェントドラゴン、

セイレーンクイーン、

アラクネクイーン、リッチ、

スキュラクイーン、ヌエ、四聖獣、

後からザッハーク、エルダーリッチ、

死神まできおった。

魔王軍でさえ敵わない陣容だ。

この戦力でも恐らく樹海の王の軍勢のほんの一部だろう。」

フェアルは周りを見渡し驚き戸惑っている。


フェアル「こ、こ、これは!

この中の一人でも妖精族には手に余るよ。エルフが目的なんだよね。」

フェルリ「そうじゃな。」

フェアル「エルフを渡して帰って貰おうよ。」

フェルリ「もう遅い。

今頃この集落以外は全て滅ぼされたじゃろう。始めの集落は5分とかからず消滅した。」

フェアル「・・・・・・。」

フェアル絶句。


集落より魔法の炎が飛んで来た。

リザルト「来た来た、

やっと俺の出番だな。」

右肩の蛇が炎をはじく。


長老の集落では、エルフ達が精霊魔法の詠唱をしている。

その前で妖精達が浮かんで魔法を詠唱。沢山の魔方陣が重なりあい空が黒く染まる。


ライゾウ「やる気充分みたいだな。」

コボ1「蹂躙の時間だ!」


仲間達が次々に敵に飛び込んで行く。

敵の様々な魔法が飛び交う。

仲間に当たるがびくともしない。

無傷の仲間が妖精とエルフを蹂躙し始めた。


レイが左腕から分離し精霊王形態として現れる。

精霊力が周りに拡がっていく。

レイ「いにしえの不当な詐術さじゅつを破り捨て、

精霊達を封印のかせから解き放て!

精霊王が命ずる契約解除Contract cancellation!」

レイの両手から精霊力が、虹のような七色の光を帯びてエルフ達に降り注ぐ。

エルフ達の精霊の腕輪が、全て砕け散り一瞬のうちに風化した。

自由になった精霊達がエルフ達の頭上に浮かんでいく。


精霊「精霊王様!有難う!」

レイ「精霊達よ、

今こそ積年の恨みを晴らすとき、

エルフ達を蹂躙せよ。」

精霊達はエルフを蹂躙し始める。

エルフ達は怖れ怯え、さまようばかり。


フェアル「精霊王?本物?」

フェルリ「本物の精霊王様じゃ。

しかも新しい精霊王様は世界樹。」


フェアル「世界樹!」

フェルリ「深淵の樹海は、

もともとは世界樹と精霊達の住処すみか

ゆえにエルフの里、

いいや世界樹の里は世界樹様のものに戻ったと言うわけじゃ、

我々には何も言う権利はない。」


レイ「そうよ。やっと理解したようね。

そして私も樹海の王の妻。

この樹海は彼のものよ。

彼に反旗を翻す者は樹海から立ち去りなさい。」

フェアル「我々は利益を求めるあまりに、大きな間違いを犯していたようですね。これでは我々こそ悪の手先ではないですか!」


フェルリ「そうよ、我々妖精族はエルフの甘言に惑わされ、穏やかに暮らしていた精霊達を無理矢理捕獲封印し、隷属の手助けをした挙げ句、毎月世界樹様を傷つけて得た、世界樹様の身体の一部を買っていた。

精霊王様にそのような事を言われたよ。」

フェアル「・・・・。」

フェルリ「精霊王様に『償いをしてもらう』と言われたが、

償えるような物ではない。

何百年も世界樹様を傷つけ、

精霊達を奴隷以下の存在としてこき使っている助けをしてきた。

深淵の魔女様も呆れて見放すさね。」

フェアルとフェルリは妖精ホイホイの中で落ち込み、

項垂うなだれ、突っ伏す。


エルフと妖精の蹂躙は終わっていた。


エルフは全滅。

妖精の生き残りは、他の集落で妖精を閉じ込めた妖精ホイホイが飛んで来て、吸い込んでいた。


集落はダンジョンの機能で転移し、

一瞬のうちに消えた。

フェアル「集落が消えた・・・。」


「生き残った仲間達と一緒にしてやる。仲間達とよく話し合って反省し、

今後の身の振り方を決めな。」

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