第81話 VSガラード王国(その4)

正面の一段高い位置に王の椅子。

金色の豪華なその椅子に国王が座っていた。


色とりどりの宝石で飾られている金の王冠。

外向きにカールした金髪。

青い瞳。鋭い目。睨んでいる。

白い口髭と顎髭。

年齢は70代。老年。

赤を基調として金銀が織り混ぜられたマント。

ゆったりとした複雑な金銀の模様が織り込まれた白いガウン。

宝石が散りばめられたベルトと腕輪。

そして王笏おうしゃく。先の尖った靴。


その左横に・・・。

宰相らしき人がいる。

宰相と呼んじゃおう。

国王の椅子に登る階段の下にアレオン将軍。


国王の椅子まで赤いカーペットが敷かれている。

その両脇壁際に貴族達と近衛兵が並んでいる。


その赤いカーペットの上を俺達は歩く。

先頭から俺、リザ、ハピ、ルシー。

スパ、コボミは隠蔽で見えないが一緒のはず。


宰相「止まれ!そして膝を付け!国王の御前なるぞ!」

宰相の言葉は無視。

「ルシー、上から話しかけられるのは気分が悪いね。」

俺は立ち止まり、ルシーに話しかける。

ルシー「全くその通りでございます。」


宰相はここで先手をとり優位に進めたいため必死だ。

宰相「貴様ら!何者だ!膝をつきこうべを垂れよ!」

アレオン将軍、両脇の近衛兵達が剣を鞘から抜き構える。


ルシーは前に出ると叫ぶ。

ルシー「無礼者!樹海の王の御前なるぞ!」

ルシーから濃厚な魔力、禍々まがまがしい邪気が溢れ広がる。

レイの精霊力が俺と妻達だけを包む。

俺達は平然と立っている。


(ルシー、あんまり本気出さないでね。死んじゃうから。)

ルシーに念話で話しかける。

ルシー(分かってるわ。)


俺達を除く謁見の間に居る者全てが、膝を付き頭を垂れる。

具合が悪いだけだけどね。


うつ伏せで倒れている者も何人かいる。

殆どが貴族達、根性なしだなぁ。


アレオン「狼藉者め、成敗してやる!」

その中でアレオン将軍が踏み込んできた。


剣を八双はっそうの構えから袈裟斬り。

リザがアダマンタイトの盾で受け流す。


俺はムラマサで抜刀しながら薙ぎ払う。

天晴れあっぱれ!」


流石アレオン将軍この中で動けるとは、しかも攻撃してきた!

ムラマサを納刀。

アレオン将軍を異次元収納した。


ルシー「その上にいる者!樹海の王の御前である。

降りてきて膝を付け!殺されたいか!」

ルシーは国王と宰相へ放出される魔力と邪気を強める。


アレオン将軍が殺されて、国王と宰相は、有利に進める事を完全に諦めた。よたよたと下に降りてきて、魔力と邪気に逆らえず膝をつく。


ルシー「宜しい。我が王よりお話がある。そのまま心して聞け!」

ルシーは魔力と邪気の放出を止める。


「私は樹海の王だ!貴国からの宣戦布告を受けて来た。」

宰相「宣戦布告布告?そのような事はしておりません。」


「我が領土に理由もなく2万の兵で攻め込んだな。」

宰相「貴方の領土とは樹海の事でしょうか?

いつから樹海があなた様の領土になったのでしょうか?

建国したのなら伝えていただかないとわかりません。」


「ふむ。ガル村を歩いていた私と妻達に貴国の者が無礼を働き、宣戦布告をしてきたのでそれを受けた。」


宰相「確認させて下さい。ガル村の無礼とは我が国では認識ございませんが何の事でしょうか。何かの間違いではないでしょうか。」


「そんな事も知らんのか、情報収集がなってないな。こいつが犯人だ。勅使は王家の言葉を伝える者であるから、王家の言葉として受けとる。」


ガル村で捕まえた勅使を目に前に出す。

ガラード国王達が驚く。


勅使は俺達に向いた状態で出した。

ガル村で捕縛した時から時間経過していないため、現在どこにいて周りに誰がいるか確認しないまま、興奮して喋り出す。


勅使「貴様ら、儂に何をした!許さんぞ。ガラード王国が目に物を見せてやる。貴様らは殺す!その女達を差し出せ!」


「ガラード国王!この通りだ。

こやつは我を殺して。

妻たちを奴隷のように差し出せと言っている。

相手の身分も確認せず。

通りすがりの王妃を差し出せとはどういう了見だ。

貴国は王に暴言を吐かれ、王妃を連れ去ろうした者達にどういう対応を取るのかな?

他国であれば開戦やむ無しだ。

宣戦布告以外には受け取れんな。」

ガラード国王、宰相は絶句。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る