第71話 ガラード王国の状況

スパ「次にガラード王国の状況を報告します。」

「うむ。」

スパ「ガラード王国は深淵の樹海より南の位置にあります。ご存じのガル村とガリア町がある国です。

王国軍の大敗退に伴い、アーシュ男爵領を中心に経済も大打撃となりました。国軍もまだ数千人はガリア町に駐留し、国の防衛に当たっています。ガル村を始め、アーシュ男爵領の各村には臨時の徴税があり、貧困化しています。ガル村にはアキード商会経由で密かに支援をしています。」


「ふむ。ガル村は何かがあれば、助けにいこうかな。」

アリア「うんうん、知っている人も多いので、是非助けてあげて。」


アキート「その事で相談があります。現在樹海周辺の村々と樹海の領地間で交流があり、住民同士で商売が頻繁に行われています。有力顧客としてガル村以外も支援対象としたいのですが、如何でしょうか?」


「ふむ。了承しよう。村民達は魔物に恐怖心は無く交流してるの?」

アキート「行商の人手が足りず、コボルトやゴブリン、オークもつれていったのが良かったみたいです。警戒心もなくなり。樹海の集落に直接買い付けに来る村民も多くなりました。」


「良い傾向だ。この際だからみんなに伝えるが、俺の方針は種族による差別は一切しない。平等にする方針だ。但し、エルフは敵だ!何もしてないゴブ4を殺された仇だ。そして精霊虐待をする限り毅然として断固戦う。」

皆「はい。承知しました。」


スパ「ガラード王国は重点監視中ですので、念話イメージが幾つかあります。」

「うむ。見せてくれ。」


スパ「始めにアーシュ男爵の状況です。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

アーシュ男爵領主の館一室。

アーシュ男爵と宰相の会話。


アーシュ「何でこんなに金がないんだ!」

宰相「冒険者ギルドの崩壊で樹海の素材が全く町に入らなくなりました。その上、オーク軍に敗退した国軍の治療、食費が馬鹿になりません。」


アーシュ「国軍は町の外に駐留してるのだろう。宿泊代はかからなくなったが食費はかかるのか?」

宰相「国から兵量が届くまでは必要でしょう。この町の防衛の為に駐留しているのです。何もしない訳にはいきません。」


アーシュ「寄親よりおやのアラント辺境伯に支援して貰おう。」

宰相「それは難しいでしょう。」


アーシュ「寄親だぞ。」

宰相「男爵様、その寄親の依頼や頼みをことごとく断っていた事をお忘れですか?その上、無理矢理借金して返した事も無いのですよ。」


アーシュ「困った時に助けてくれるのが寄親だ。借金でもいいから申し込んでこい。どうせ返すつもりは無いがな。あははは。」

宰相「はぁ~。承知しました。」


宰相「それより、本当のお父様であるアジューム侯爵に支援を申し込んではどうでしょう。」

アーシュ「お前は馬鹿か!ここで父上に無能と思われたら見放されるぞ。せっかく男爵になり政敵アラントの寄り子になったのだ。父上に頼るのは最後の手段だ。」

宰相「はぁ。承知しました。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

スパ「次はアラント辺境伯の状況です。」


アラント辺境伯領主の館一室。

アラント辺境伯と宰相の会話。


宰相「また、アーシュ男爵からお金の無心むしんがありました。」

アラント「無視だ。本当にあの野郎は俺の言うことは全く聞きもしないで、困った時だけ頼って来やがる。」


宰相「何かしらの回答は必要でしょう。」

アラント「借金を返すなら、幾ばくかの支援はしようと言っとけ。政敵アジューム侯爵の策略で寄り子にしてしまったが、疫病神だったか。」


アラント「それより、オーク軍の状況は把握出来ているのか?

そっちの方が重要だぞ。一手間違うと俺の領地は崩壊する。」

宰相「近隣の村に密偵を派遣していますが、どうやら樹海に国が出来ている様です。」


アラント「樹海に国?」

宰相「コボルト、ゴブリン、オーク達の王国で人間もいます。しかもその国の王は人間らしいです。」


アラント「そんな魔物達と国をつくって、国として成り立つのか?」

宰相「それが、非常に素晴らしい国のようです。我が領土で最近評判の食材や酒、設備等は元を辿れば樹海の国のものです。」


アラント「ん!もしかしたら今飲んでるこの馬鹿旨い酒もそうか?」

宰相「その通りです。」


アラント「う~ん。侮れんな。密偵の調査を継続しろ。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る