第70話 獣人国

スパ「続いて、獣人国の状況を説明します。」

元獣人国の三長老も話を止めて注目する。


スパ「獣人の国は深淵の樹海北東部と東部に広がっています。

オーク軍との戦争により各集落は壊滅的な被害を受けました。

獣人国では各集落を復興中です。

ケットシー、ウェアウルフ、猿人は戦争前から我が国の傘下にあった事から無傷むきずで戦争前と同様に暮らしています。」


ケットシー族長老のキャルが口を挟む。

キャル「そうだにゃ。早くに樹海王国の傘下に入って正解だったにゃ。戦争前同様じゃにゃい。それ以上にゃ。」


続けて猿人族長老のモンタ。

モンタ「そうそう。経済は活性化してるよ。一番費用がかかる軍隊を、全て樹海王国の軍隊に吸収して貰ったので、軍費がゼロになった。公共投資や経済活性化の施策に回せる。贅沢も出来る。樹海王国の食材や様々な設備や道具が入ってきて、生活は向上しているし。」


ウェアウルフ族長老のウルズも話始める。

ウルズ「そうそう。軍費ゼロで贅沢三昧。設備の中では特に水洗便所のウォシュレットはいいな。何処の家庭も導入したくて3ヶ月待ちの大人気だ。」

キャル「服も凄く着やすいにゃ、破れ難いし肌触りが良くて、もう前の服は切れないにゃ。」

モンタ「酒も旨い!皆買いたい物が有りすぎて困る。仕入れた物は何でもすぐ売れる。」


キャル「かつて無い大発展だにゃ。」

モンタ「問題は発展し過ぎて、それを知った獣人国からの移民が多すぎる。」

キャル「多いにゃ。」

ウルズ「多い。」


「トロルの領地は人口が減少してるだろう。受け入れ可能かな?」

トロボ「受け入れ可能です。」


「住む建物の大きさもあるだろうから、大型の種族はトロルの領地に回ってもらったらどうだろう?」

モンタ「それは、良いかも。象獣人や熊獣人は大きいのが多いけど、トロルの家なら問題なく住めるだろう。」

ウルズ「その方向で進めます。」


スパ「え~。続けても良いでしょうか?」

「ああ、続けてくれ。」


スパ「我が国に避難していたガネーシャ辺境伯の領地には復興支援中です。こちらも住民感情を考慮しオークは派遣せず、コボルトとゴブリンの人材派遣してます。そしてこちらも他の集落からの移民等、人材流入多いようです。」

「ガネーシャの領地は獣人国だからなぁ。移民の支援はしない。」


ルシー「そうね。見返りの無い慈善事業は国として必要ないでしょう。」

ヒナ「うん。よっぽど飢えて死にそうな人がいるなら別だけどね。支援依頼があって始めて検討するスタンスでいいと思うよ。」

ハク「というか、獣人国の問題でしょ。そちらで解決してください。って感じね。内政干渉よ。」


スパ「獣人国の国王の状況を念話イメージで見ましょうか。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

獣人国王都、王の城一室。


獣人国王ライガンはライオンの獣人。

王の椅子に腰掛け誰かを待っている。


雄ライオンの顔。たてがみあり。

顔が大きい。

身長250cm。

ガッシリした体格。

茶褐色の毛衣けごろも

手足は人間と同じ。

金属製鎧上下。

ガントレッドとグリーブを装備。

鎧には模様が刻まれており、高級感を醸し出してる。


左右に従者。

右に豹獣人、名前はジャガル。

顔は豹。身体は人形ひとがた

全身が毛衣けごろもに覆われている。

背面は淡黄褐色、腹面は白っぽい。

全身黒い斑点、斑紋が入る。

手足の形状は人間と同じ。

軽鎧を着用。

しなやかな姿態、身のこなしの様に見える。


左に狐獣人、宰相リキンス。

顔は狐。身体は人形ひとがた

全身が毛衣けごろもに覆われている。

背面は赤錆色を基調とし腹面は白く、

耳の先端と手足の先端は黒い。

手足の形状は人間と同じ。

白いローブを着ている。


そこに羊の獣人が入ってきた。

リキンス「クロニス、よく来た。待ってたぞ。」


羊の獣人はクロニス。

黒い羊。

こめかみに羊の巻き角。

身長は170cmぐらい。

黒いローブに身を包む。


クロニス「お呼びいただき参上致しました。」

ライガン「よく来た。早速だが、獣人国北部の食糧難がいよいよ深刻化してきた。備蓄の食糧を使わずに対応出来る献策はないか?」


クロニス「先ず、樹海に支援を申し出たら如何でしょう。」

リキンス「先の戦では、共闘を断っている。よい返事は無いであろう。」


クロニス「よい返事があれば良いですし、無くても問題はありますまい。」

ジャガル「まあ、そうだな。」


クロニス「なにより、お人好しのカーバンクルのカインが一緒にいる様ですので、王が拒否してもカインに頼めば何とかなるかも知れません。」

リキンス「なるほど、それは可能性があるな。」


クロニス「樹海の内情の欠片でも、見えればよいぐらいの気持ちで良いでしょう。本命は次の策。武闘大会です。広く周辺国に便りを出して、選手の派遣依頼をしましょう。観客の入場料、入国税と町の飲食、宿泊、土産物で潤うでしょう。その利益で食糧難の対応をしては如何でしょうか。」

ジャガル「人は集まるかな?」


クロニス「剣聖アバンニにつてがあります。」

リキンス「おお!剣聖アバンニ!彼が来てくれれば観客も集まるな。」


ライガン「宜しい、その策を進めよう。」

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