第32話 冒険者ギルド副ギルド長グレッグ
体格の良い坊主頭の男。
身長は200cmぐらいか。
謎金属の頑丈そうな鎧を着ている。
知らない素振りで横を通り過ぎながら、
男「待て!小僧!」
男が俺の後ろ
時計回りで、振り向き
男の右手を下から上に斬り飛ばす。
男「うっ!」
男は斬られた手首の先が無い右手を左手で押さえている。
男は痛みを我慢しながら俺に聞いた。
男「お前は何者だ!冒険者5人がここに来たがどうした!」
「俺はただの旅人の少年です。冒険者は知りませんね。」
男「俺と同じように斬ったのか?」
「一般の人に理由もなく暴力を振るう人達を、冒険者と言うのかな? あなたと同じ様に。」
刀を納刀しながら質問を返す。
男「暴力?」
「急に奥襟を掴むのは暴力ですよ、投げるも叩くも・・・殺す事も自由に出来る。あなたは俺を制圧しようとしたんだよね? 暴力と言わず何というんですか?」
男「・・・。」
男は無言で右手を押さえ俺を睨む。
「いわれの無い暴力とは断固として戦いますよ。」
男「・・・・」
男は何も言えなくなった。
「あなたは冒険者ギルドの方ですよね。」
グレッグ「そうだ。副ギルド長のグレッグだ。」
グレッグは魔力を右手に込めると右手の流血が止まる。
「一般の人が冒険者に絡まれているのに、黙認するのが冒険者ギルドの流儀ですか?」
グレッグ「冒険者ギルドに恨みでもあるのか?」
「恨みも何もありません。黙認するのが冒険者ギルドの方針ですか?」
再度聞き直す。
グレッグ「黙認した訳ではない!そのために俺が来た。」
「遅い!遅すぎます。絡まれた時点で対処しないとダメでしょう。普通の人なら今頃殺されて、武器や防具を盗まれてます。」
グレッグ「やっぱり斬ったのか? 5人をどうした?」
「さあ、知りませんね」
男「そんな筈はない。確かにお前らを追ってここにくるのを、俺は見ていた。」
「それは黙認と同じですよ。俺達を追っていたのを知っていて、走れば間に合うのに、間に合わないように歩いて来たんですよね!」
右手を刀の柄に添える。
グレッグ「緊急事態なんだ。ゴブリンの群れが樹海に発生した。戦力が必要なのだ。お前ら冒険者ギルドに加入してダノワの替わりに手伝え!」
「お断りします。戦力を維持するのと一般の人を見殺しにするのと、どんな関係があるんですか? あなたは論理が滅茶苦茶だ。」
グレッグ「ダノワ達は生きているのか? 生きているなら引き渡せ! 俺からしっかり言い聞かせておく。それで満足しろ。」
「何を言ってるか分からないが、あんた馬鹿でしょ。仮にそんな事があったとして、それで許す人はいないよ。それとも実力行使で納得させようとしてるのかな?」
ヒナ「なんでこの人、上から目線なのかしら?」
「右手を切られても、俺を圧倒する自信があるんだろうね。」
グレッグは威圧が通じず、冷静に話す二人を見て不審に思う。どう見てもただの小僧だ。
そして実力はありそうだが実戦慣れしてなさそうな少女。そんな二人にどうこう出来る『深紅の剣』のパーティでは無いはず。
何か有るのか?どうして自分の右手が切られたのかもよく分からない。
現役時代無敵を誇った元Sランクのグレッグだが、今までこんな事はなかった。
アイが鑑定していた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前:グレッグ
種族:人間
性別:男
職業:剣士
性別:♂
レベル:48
HP:450/500
MP:150/150
スキル:
剣術(LV8)
縮地(LV5)
投擲(LV5)
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
強いね。
グレッグは鑑定された事に気付く。
グレッグ「鑑定したな。そのオッドアイか?お前は何者だ。」
「ただの旅人ですよ。」
グレッグ「隣の女も人間じゃないな。吸血鬼か? お前ら魔王の手先だな。」
男は左手を右の腰に伸ばし、ナイフを掴んで俺の首に投げた。
ナイフは無視。抜刀。
ハクの転移でナイフは躱してグレッグの横に移動していた。男の首を斬り落とす。
副ギルド長グレッグの死体を異次元収納に入れた。飛び散った血などはスラオの闇魔法で影に消える。
「魔王の手先じゃないよ。失礼な。」
ヒナ「今のくだりなにー? 有無を言わさず斬れば早いのに。」
「いや~。良い人だったら見逃そうかと思って。この町の冒険者ギルドは酷いね。副ギルド長からして駄目だ。理由はどうでも、これでこの町の冒険者ギルドとは敵対が確定した。スパ、冒険者ギルドを監視してね。」
スパ「承知しました。」
「商会に帰ろうか。」
ヒナ「お腹すいたしねー。」
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