第30話 ガリア町(その2)

アキートに商会の倉庫に案内された。


店の裏にある広い倉庫。

各種品物が倉庫の半分に山積みになっていた。

空いているスペースを指差し。

「取り合えずここに出せばいいのかな?魔石から出すか?素材か?」

アキート「魔石からお願いします。」


ハクの異次元から魔石を出していく。

魔石の山が次々と増えていく。

アキート「ちょ、ちょっと待ってください。後どのくらいあるのですか?」

「まだまだいっぱいあるよ。」


アキート「魔石はストップで、ゴブリンジェネラルの魔石と盗賊の盗品を先に出してください。」

ゴブリンジェネラルの魔石と盗品を山積みする。


「魔石と言えば、大百足の魔石もあるよ。」

アキート「ええええ!大百足!素材も有りますか?」


「甲殻と牙もあるよ。」

アキート「そ、そ、それも出してください。」


大百足の魔石と牙(正確にはあご)と甲殻を出していく。

大百足の甲殻はどの巨体から倉庫に入り切らなそうだ。


「甲殻はここに出しきれないな。」

アキート「ええ?そんなに!・・・すいません。ウチで買い取れる許容範囲を大幅に越えています。甲殻はまたの機会でお願いします。」


「おや、もう終わりか。まだまだあるけどね。」

アキート「どんだけあるんですかぁ!すいません。今回買い取った物は品薄の物が多いので、直ぐ売れると思います。また後日買い取らせてください。」


「いいよ。買い取れるようになったら教えてね。」

アキート「分かりました。絶対!絶対!売ってくださいね。他に売らないでください。」


「うん、分かった。また頼むよ。」

また売りにくる事を快く約束した。

ここしか売る伝がないし、冒険者ギルドはなんとなく信用できないし。


アキート「今すぐ買取りの査定を行いますが、時間がかかるので、先にヒロト様が欲しい物を商会の売場で見てください。」

「うん、分かった。概算でいいので、どのくらいの物が買えるお金になるか教えて?」


アキート「この商会で現在売っているものを、全部買ってもお釣りがきます。」

「おお、そんなにか。見てくるね。その前にハーピーの服も数着見繕ってね。」


アキート「承知しました。寸法を合わせる必要があるので、ハーピーを召喚していただけますか?」

ハピを召喚した。


「ハピ、この人に付いていって服を合わせて来てね。」

ハピ「はーい。」


アキート「アキート商会の売場が1階と2階にあるので、そこから買いたいものを店員に伝えてください。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


ヒナと一緒に売場を回る。

ベットと寝具、家具、生活用品、調味料、食材を次々と店員に伝える。

「ハク、今、店員に伝えた物は異次元に全部収納出来るかな?」

ハク「収納出来るわよ。余裕ね。」


「おお!後どのくらい入るかな?」

ハク「分かんない。まだまだ余裕だよ。」

「おお、そうか。有難う。」

深く考えないことにしよ。

入らなくなったら考えればいいか。


魔石売場に来た。

聞いてた通り品薄のようだ。

「店員さん、魔石は品薄のようですね。」

店員「魔石は魔道具に必要で必需品なのですが、最近は入荷が少なく高値になっています。」


「なんで入荷が少ないの?」

店員「深淵の樹海ではゴブリンが大量発生しているため、ゴブリンにより魔物が乱獲されて町に入る魔石や素材が極端に少ないのです。」


「冒険者は深淵の樹海に入って取ってこないのですか?」

店員「腕利きじゃないとゴブリンにやられる為、樹海に入れない冒険者が多いのです。腕利きの冒険者でも逃げ帰る事が多いみたいです。」


「冒険者ギルドの売り上げ落ち込みますね。」

店員「冒険者ギルド存続の危機のため、近々冒険者ギルド総力を上げてゴブリン退治に乗り出すようです。」


村に来た最悪なCランク冒険者を思い出すよ。

「店員さん、有難う。」


ヒナ「冒険者ギルドには是非行かないとね。」

「え、行かないつもりだったけど。」


ヒナ「異世界転移の定番じゃない。行こうよ、行こうよ。」

「しょうがないな~。絶対、テンプレの問題が発生するよー。」

ヒナ「やっつけちゃえばいいでしょー。」


次に服のコーナーにいった。

ハピが村人の服を着ていた。

ハピ「う~、なんか違和感。」

「裸はいけないので我慢しなさい。」

ハピ「はーい。」

ハピの着ている服は普通の村人の服で、背中から羽が出る様に加工している。

ヒナも服を数着購入して村人の服になった。


個人としては考えられないくらい売買の量が多かったとの事で大変喜ばれ、商会の3階にある客室に無料で宿泊させて貰う事になった。


魔石や盗品の代金もしっかり貰ったので、商会の用事も一段落し、昼食とその後図書館に行くため、商会を出る。


ヒナ「昼食は定番の屋台で謎肉の串焼きだわ。」

「ヒナも結構異世界物読んでたんだね。」


ヒナ「もちろんよ!詳しいよー。」

「そのわりに、DP使いすぎて詰みそうだったけどね。」

ヒナ「それは言わないでよー。」


昼食に屋台で謎肉の串焼きを食べた。

謎肉は大猪エリュマントスの肉だった。

濃厚なタレに浸けてあり、結構旨い。

ヒナ「満足だわ。叔父さんそのタレ売ってよー!」

おじさん「ダメダメ!商売が出来なくなる。」


おじさん「とは言っても、最近肉が入荷しなくて店を閉めるかも知れんがな。」

大猪エリュマントスの肉をもってるよ。どのくらい欲しい。」


おじさん「え!本当かい。いくらでも買うよ。」

「とりあえず渡すよ、代金はタレでね。」


屋台から離れて周りから見えない様に異次元収納から、解体した大猪エリュマントスの肉をいくつか多目に出して、おじさんに渡す。


おじさん「どこから持ってきた?」

「秘密だよ。」


おじさん「また入手したら持ってきてくれ。」

「気が向いたらね。」


タレをツボごと貰い屋台を後にする。


「次は図書館だ。この世界の異世界転移について調べたい。俺が何で樹海の中に転移したのか知りたいんだ。」


ヒナ「協力するわ。」


図書館に行き二人で調べたが、目新しい情報はなかった。


「異世界転移や異世界転生に関係する本は2冊しかなかったね。」

ヒナ「うん、知っている事ばかりだったね。勇者と魔王関係の本も物語しかなかった。」


「もっと大きな都市に行かないとダメかもね。」

ヒナ「今度行ってみよう。」


「まあ、機会があればね。ところで冒険者ギルドに行ってみる?」

ヒナ「行こう!」


「冒険者になりたいの?」

ヒナ「う~ん。そう言うわけじゃないけど。見てみたい。」


「異世界物でひっそりと暮らしたいって言って、冒険者ギルドに登録して失敗するパターン多いよねー。個人情報を知られる危険が大きい。」

ヒナ「そうだね~。今日は見るだけにする。」

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