第10話全てにおいて必要な物
確かにこの力があれば例えば目の前にありったけの金を出すことも
「できるけど……普通の思いつきね」
ぐぬぬ……
ただ英雄、というか人のために何かするのならとてつもない便利な能力だろう
便利な能力……なんだけど
「地味……かしら?」
ピタリと胸中の言葉を言い当てられる まあ心が読めるのなら当然だが
なんか、こう異世界らしくめっちゃすごい動きでドカドカ魔物を倒していく的な
確かにこの力を使えば魔物を見つけ次第、というか全ての魔物を絶滅させることだって
「あーさすがにそれは無理よ、運の域を超えているわ」
そうなのか……
「あくまで運というのは特定の選択肢を引き寄せるためのもの、いくら何でも魔物全体なんて適当すぎてもだめ、そんな選択肢、初めから存在しないわ」
なるほど……
「ただ魔物全員の姿をはっきりと思い浮かべながら雷を降らせるって事なら出来るわよ、要は認識ね、貴方は運を作用させる対象を明確に認識していないといけないの」
魔物単体を相手するだけなら絶大な強さだ、ただ……
「貴方ワガママねえ……地味って……」
神様は呆れている
仕方ない、俺は自分が幼稚な人間だと今再認識した
でも、なんかこう魔法で相手を吹き飛ばしたり速さで掻き乱したりパワーでぶつかったり
運という力は王道ファンタジーからは酷くかけはなれていた
「貴方、英雄になりたいんでしょう?人を守るのに手段を選ぶの?」
正論のストレートが俺の心を貫く、そうだ、しかたな
「だ、け、ど運というのはそれだけに留まりませーん♪」
俺の頭の中の言葉を遮りながら楽しそうに神様は言う
「ねえ、突然いつもより足が早くなったり、力が強くなったり感じたりすることない?」
……確かにある、突然いつもより少しだけ……程度のものだが、調子がいいから……かな?
「違いまーす!!それは運のおかげなの!いつもより幸運だからそれに伴って身体能力や記憶力が上がったりするの!!」
運ってそんなに対象が広いのか……
「上がり幅や頻度は運の数値によって変化するんだけど……」
そうか、俺は少しだけ理解出来た、確かにその方法なら
「「運によってステータスをあげられる!」」
俺と神様の声がハモる
「これは運だからこそ出来るの!力やすばやさなんて減るのはさておき譲渡なんて不可能だわ」
「でも運によって偶然を引き寄せたら……!」
「そう!運の数値を別のものに譲渡できる、すっごいでしょー!」
凄いなんてものじゃない 革命だ
「そう、例えば運を150使ってそれを力に移し替える、するとあら不思議!偶然その時の力は普段の力に合わ
せて常人の約3倍の力が出せるようになっちゃうんです!偶然の力ってすごいねー!!」
俺はこの転生で全てにおいて最も重要なものを知った
「そう、初めから力や魔力なんて飾りでしかなかったのよ……」
異世界では力も素早さも防御も魔力もいらない、必要だったのは
「運」
ただそれだけである
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