第9話俺は最強?

周りからの視線が痛い!




そしてこれ器物破損に問われるのか?




いやこれは事故だ、見逃して……




ぴたっと




その瞬間ぴたっと全てが止まった。




ざわめく人たちも。




翼をはためかせ今から飛び立とうとする鳩的な鳥も。






ただ俺の頭は動いている。




それどころか普通に動ける。




俺はとりあえず岩の上から降りてロゼリーヌの方へ向かおうと……




「やっったぁーーー!!成功したァァァァ!!」




でっっかいこえが聞こえた。




俺はこの声の主を知っている 声は金色の剣から伝わってきていた。




「お久しぶり……ってほどでもないかしら。」






「えっと……その……これなんですか?」




俺は全ての疑問をひっくるめて神様に聞いた。




「時間を止めたの、このままだと面倒でしょ?」




まあそうだが……




「あの風を起こしたのも私、何故かって言うと……」




「神様がまた俺と通信をするため…ですか?」




「ご名答、今私たちが交信できてるのはその剣のおかげなの。」




俺は金色の剣をまじまじと見つめる。


「その剣、私の力を1部詰め込んでたの、お祈りする人達へのちょっとしたサービスでね。」




なるほど、つまりその力を今通信用として使っているのか。




「そういうこと、転生で1度開けた世界に0から干渉するのは大変なのよ……」




神様はため息をつく。




「えっと……ありがとうございます?」




感謝するべきかは知らないが俺のために力を使ってくれたのだろう




「いいのいいの、で、なんとかあの突風を起こしてそれを抜くように仕向けたわけ。」




「あれ?そういえばこの剣なんで抜けたんですか?」




3000年もの間抜けなかったものが何故あんな簡単に




「あー単に時間が経って刺してから1800年ぐらいの頃には誰も抜こうとしてなかったから、それでそのまま現在まで 形は保ってはいるけど外部に込めた力は流石にほぼ残ってなかったの」




ようはラッキー、いやラッキーなのだろうか?




「あれ?でも俺に剣を抜かせたのはなんでですか?ただ通信のためだけ?」




それだけならわざわざこんな大掛かりな真似するだろうか。




「その事なんだけど……むむむむ……!」




と神様は何やら力を込めているようだった。




そして俺が持っていた金色の剣は粉々に砕けた、短い付き合いだったが楽しかったぜ。








「えっええええええ、いやなんでぇ?」




「ほいっと」




神様は何がしたいんだと思った矢先に剣の破片が浮かび上がる。




そして集まった破片はスマホのような形になって俺の手首にくっついた。




「貴方がいた世界だと、この形が馴染みやすいでしょ?」




神様の声はスマホ(?)から聞こえてくる




「だ、大丈夫なんですか?これ」




「ああ、大丈夫大丈夫。」




とあっけらかんと言い放つと岩の上から光が見える




なんとついさっき砕けた剣がその姿のまま岩に刺さっていた




「力はないけど抜こうとする人もいないだろうし、大丈夫!」






改めて思ったが……この神様だいぶアバウトだな。




「で、その端末をタッチして。」




言われるがままに端末に触れる。




とそこに浮かんだのは俺のステータスだった。




力4素早さ9防御14魔力17運999




あらためて見ても惨いステータスだ。




うん?運?999?




「見えてるー?どう?感想は?」




いやいやいやどういう事だよ、999?平均50だろ?よく分からん。


「いやー私もびっくりしてねー運なんておまけみたいな物だし」




普通の人間より運が20倍いい……まあすごいと言えばすごいが。




「貴方、運をなめすぎよ!」




神様は堂々と言い放つ




「50……平均値の運なら例えばたまに当たりを引いたり不幸な目にあったりする、大きな幸せはないが大きい不幸もない、まあ普通な人生ね」




転生前の俺はそこに当たるのだろうか




「で、これが20だったりすると平均の人と比べると30分の不幸が訪れるの」




なるほど、……え?となると999ってやばくね?






「やばいわよ、もう最強よ最強!5%を100%に引き上げられるし。」








得意げに語る神様だが腑に落ちない事がある。




「いや、そんなに運がいいならなんで俺は転生直後に命の危機に直面したんですか?」




当然の疑問だろう、ああいう場面でエンカウントするのってせめてスライムとかだ。




「……んーとね例えば宝くじを買う時に当たれ!って思うじゃない?そういう時に運っていうのは使われるの 、貴方はドラゴン……というか魔物の存在を認識していなかったからエンカウントしたのよ。」




「……意外と不便じゃないですか?それ?」




今の説明を聞くと確かに便利ではあるだろうがいざと言う時にやや対応しずらい、最強は言い過ぎじゃないか?




「えっとね?貴方が、ロゼリーヌちゃんを守るためにドラゴンの前に立ち向かったわよね?で?どうなった?」




偶然雷が落ちてきて……偶然?




「そう、貴方の守りたいという意志に貴方の運が呼応したの。」


え?




「貴方は必死に欠点を見つけてるようにも見えるけど逆に考えても見なさいよ。」




俺は……






「貴方は認識さえしてしまえばどんな事ですらほとんど思いのまま……最強でしょ?」


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