第4話天然の魔力
「あの……ごめんなさい。」
急にロゼリーヌは謝った。
「な、何が?」
「そのとっさの魔法でしたので力加減が出来ず……」
申し訳なさそうに頭を下げている。
「……もしかしてさっきの風って君が起こしたの?」
と聞いてみる。
「はい 風を操る魔法を使いました」
あっさりと告げるとロゼリーヌは
「タクミさんはなんの魔法を使えますか?」
と聞いてきた。
え?俺の魔力17(多分)だろ……
顔を下に向けているとロゼリーヌは察してくれたのか
「と、ともかくあのドラゴンは1度見つけた獲物は絶対に逃がしません なんとか策を考えましょう」
と話題を変えてくれた。
策……俺はなんにも出来ない…
「えっと ロゼリーヌは他にも魔法を使えるの?」
「はい 他には水魔法と岩魔法が使えます」
俺から見たらとてつもないほどの魔力だ。
「す、凄い……3つも使えるのか。」
「私は剣等の技術はてんでダメで……何か少しでも出来ることがないかと魔法の練習を頑張ったんです。」
ロゼリーヌは苦笑いを浮かべる、 なんという立派な志だろうか。
感傷に浸る間もなく低い唸り声が近くで鳴る。
俺もロゼリーヌも咄嗟に臨戦態勢に入る。
直ぐに姿を表したドラゴンはこちらをじろりと見つめる。
思わず後ずさりをしてしまうほどの眼力だ。
「もう一度……!!」
ロゼリーヌの杖から不思議なよ力を感じた。
しかしドラゴンは先程の魔法でも間に合わない程早く口から火球を放つ。
ロゼリーヌは急いで杖を回す。
すると杖から感じた力はいつの間にか水のようなものになっていた。
火球がこちらにぶつかる直前目の前に水の壁が出来上がる。
おかげでぶつからずに済んだがあまりの火力に途端に水の壁は吹き飛ばされる。
ロゼリーヌはそのままもう一度杖を回す。
すると今度はとても力強いオーラを感じた。
ロゼリーヌの周りに何個もの岩の角が浮かびドラゴンに放たれる。
……しかしドラゴンには通じない。
肌にぶつかる瞬間岩は粉々に砕け散った。
そしてドラゴンは体を翻す。
ロゼリーヌの前にはドラゴンの尻尾が迫る…
「危ない!!」
とっさにロゼリーヌを押し飛ばし尻尾を避ける。
尻尾は大木に当たりそのままメキメキと音を立て倒れた。
……あんなもの当たったら即お陀仏だろう。
「ごめんなさい……私、もう……」
と申し訳なさそうに俯くロゼリーヌ。
顔色が悪い、魔力を酷使しすぎたのだろうか。
だが、謝るべきなのは俺の方だ。
守って貰ってばっかりの自分の無力さに苛立つ。
俺はロゼリーヌの前に立ちドラゴンを睨み据える。
俺に出来ることは少しでもロゼリーヌの逃げる時間を稼ぐぐらいだろう。
「な……早く逃げてください!!」
慌ててロゼリーヌは叫ぶ。
「そんな事……出来ない!!」
と俺は言う 、 最期に少しくらいカッコつけたかったってのもある。
しかしその間にもドラゴンは俺に狙いを定めていた。
そして俺に鋭い牙を向ける……
ーーーぽつん
ふと肩に何かが落ちてきた感触がした。
「……雨?」
雨が降り始めているのに気づいた瞬間、あっという間に空模様は豪雨に変わっていた。
ドラゴンはふと体に落ちる雨の感触が気に触ったのか上をじっと見上げるがすぐにこちらを見直す。
はぁ……最悪だ。
ここまで運がないものか、なんだこの瞬間大雨。
俺の普通じゃない異世界生活はこれで終わる。
せっかく転生させてくれた神様に申し訳ないことをしてしまった、そっと天に向かって手を合わせる。
「ごめんなさい……」。
ドラゴンの牙が迫る
「さーて……あの子大丈夫かな」
神様は天国で申し訳なさそうに呟く。
「私ってほんとにクジ運が極端なんだから!」
呆れたように神様は巧のステータス表を見つめる。
雨雲はあっという間に黒色に変色し始める。
そうして積乱雲はすぐに発達し、ドラゴンを包む
神藤巧 【しんどう たくみ】力4 素早さ9 防御14 魔力17 運999
ドラゴンの元に雷が降り注がれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます