束ねられたケーブル
ソドムの廃墟
27:15
針がてっぺんを指してる。
頭にあるのは、それだけ。目の上に見える時計は読めなくても、8年の習性で、急がなきゃならないことは分かる。せわしなく手さぐりして、おっきなの次におっきなスパナを腰のリングから引き抜く。ずっしりとした重さが、正しい工具を掴んだことを教えてくれる。
緑の細い時計越しに、目はずっと、まっすぐに垂れ下がった太いネジたちを見つめている。早く締めなきゃ。背後で金板が甲高い音を立てる度に、いくつもの6つの目が不安げに背中を見下ろしては、足早に通りすぎていくのを感じる。
たっぷりとグリースを塗ったペレットを押さえながら、下蓋を嵌め込む。左手がぬめるせいで焦るほど、鉛の分厚い蓋が上手く発電箱にはまらない。
ずっと蓋を支えている左肩が痛い。あと3つのナットを仮止めするまで、頭に響くガイガーカウンターの耳障りな警報を止めることもできない。少しでも胸ポケットに手を伸ばせば、途端に重みでネジが曲がってしまうからだ。
束ねられたケーブル ソドムの廃墟 @joseph_unsaint
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