第81話 魔導忍者は神の軍勢を迎え撃つ 3/5


白玲は、城壁から少し離れた場所に立ち、空を見上げていた


そこには、その空を埋め尽くさんばかりの天使の軍勢


もはや数を数える気にもならない


「約100万のエネルギー反応があります」


イブさん数えてらしたのですね! (;'∀')




その天使たちが取り囲む中央に、神エルネストの姿があった


男女の区別がつかない中性的で美しいその顔立ち


だが、どこか作り物めいた美しさだ


6枚の羽根を広げ、神々しい光を放っている




誰が見ても絶望的であろう光景が目の前にある


その中で白玲は思った


『負ける気がしない』


あの神はともかく天使が何万、何十万と己を取り囲んでも


『触れる事すら許さず切り捨てる!』


それだけの事だった




イデアは、ガッカリしたように呟いた


「あの神はともかく天使はダメだな・・・弱すぎる」


「同感です 数に頼りすぎですね」


ジスレアも同じ意見のようだ


「でも、魔法撃ち放題ですよぉ! わ~い!」


クリスは久しぶりに、遠慮なく魔法が打てると喜んでいる


「フハハハハハ! お前たちの出番はないぞ 何せ俺様の新必殺技が炸裂してしまうからな!」


魔王バルバールは、また新しい技を披露してくれるそうです


こうご期待!(゜д゜)!




「ガッカリしたところ申し訳ないが、天使たちを任せてもいいか?」


「エルネストは俺が相手をする」


「我に異存はない」


「流石にアイツには、勝てそうにないからね あんたに任せるよ」


「その分、天使たちは任せて下さい!」


「今日こそ、ジャッジメント・アポカリプスを~」


「「「「それは止めとこう!」」」」


神の軍勢をも恐れぬ連中がこの慌てよう!(゜Д゜;)




「もしかしてクリスの必殺技か!? 俺様見てみたいぞ!」


「「「「お前(お主)(あんた)(あなた)は黙ってろ!」」」」


「はい・・・」


『俺様、魔王なのになぁ・・・』…ρ(・ω`・、) イヂイヂ


いやいや、それは『魔王』だろうが『王様』だろうが怒られますよ!


発動した瞬間、この世界の終末が来ちゃうんですからね!(゜Д゜;)




このやり取りを各都市の各所に設置された映像投影魔道具で見守っている『賢者の国』の国民たちは


『何この危機感の無さは何?』


と疑問に思わずにいられなかった




だが、国民たちの疑問は、神エルネストの声にかき消される


「不浄なる者たちとそれに与する者たちよ、神の前にひれ伏しなさい」


目に見えない、抗いがたい力が、国民たちを地面へと押し付けようとする


「ぐっ!どうなってるんだ?」


「ううぅ体が勝手に」


「くそ!いいなりになってたまるか!」


だが、神意の前に抗うすべは無い


国民たちが、まさに地に伏しかけたその時だった




「だが断る!」


決して大声を出したわけではない、だがその意志の力は、全国民を神の言霊の呪縛を断ち切る!


その途端、あれほど強烈に感じていた圧力が一瞬で消え去る


「おお! 体に自由が戻った!」


「賢王様が守ってくださったのね」


「神の力を打ち消すなんて凄いぜ!」




「神意を打ち消しただと!?」


神エルネストは今まで一度たりとも覆された事など無い自分の力が打ち消されたことに驚愕する


しかし、その感情はすぐに耐えがたい怒りへと変わる


「たかが人間風情が神に逆らうなど万死に値します!」




「お前が神の力を手に入れたのは、その人間のお陰だろう?」


「つべこべ言わずにかかってこい!」


クイクイと指で手招きして挑発する雷蔵


「おのれ! 天使たちよ、草木一本残さず消滅させなさい!」




空を覆いつくす百万の天使の軍勢から、天罰という名の光が降り注ぐ


それは、かつて一国を跡形もなく消滅させた浄化の光




『賢者の国』はその光に飲み込まれていった


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る