第82話 魔導忍者は神の軍勢を迎え撃つ 4/5


100万の天使による上位魔法の一斉掃射


『賢者の国』はその光に包まれ姿を消した


「とんだ期待外れなのであ~る」


「これならば、吾輩が開発した魔導力ジェネレーターを慌てて稼働させる必要なかったであるな」


光が消えて周囲の姿がはっきりと見えてくる


『賢者の国』は全くの無傷だった!




それもそのはず


『賢者の塔』は、大魔導士メイザースの魔導力ジェネレーターによって魔導力を常時生成することに成功!


これにより、真なる『合力』を使って防御結界を展開


従来の防御結界を遥かに超える防御力を得たのである


この結界であれば、『邪竜』のブレスすら防ぎきるだろう!




「まぁ、光系魔法を魔力に逆変換する結界がうまく働いたので、結構な魔力を貰ってしまってご馳走様なのであ~る」


敵の攻撃を防ぐどころか、自分たちの力に変えてしまう


大魔導士の名は伊達ではなかった!


しゃべり方はちょっと残念な感じだが!(;'∀')




「何故、『神の天罰』が利かない!?」


「うちには『賢者』に『大魔導士』までいるからな」


「それを計算に入れて大軍を率いて来たんだろ」


「まさか、情報収集すらせずに挑んできたのか?」


「敵の戦力を把握しておくのは、戦いの鉄則だぞ?」


あきれ顔で雷蔵が、情報収集の重要性を説明する




それも仕方ない事だったのだろう、今まで神である自分より強い敵など存在しなかったのだから


「俺の友とその仲間たちは『神』を倒すために6000年間努力を惜しまなかった」


「その力を与えてもらった俺も、彼らの努力を無駄にしないように日々鍛錬をしている」


雷蔵は力を手に入れても慢心しなかった


「いくら大きな力を得ても、それを使いこなせなければ、持っていないのと同じだからな」


「ほら、お前の手下たちがピンチだぞ」


雷蔵の目線の先では、世界最強の女子たちによる蹂躙劇が開始され始めていた




白玲は天駆で、天使たちのいる高さまで駆け上る


『邪竜』の力を宿した剣『剣星竜の剣』は珍しく大剣の姿を取っていた


身の丈ほどもある大剣を軽々と振るい、天使たちの間を駆け抜ける


天使たちは、彼女が右手で握った『剣星竜の剣』で一刀のもとに切り伏せられ、返す左手で神から与えられた力を『吸収』され奪われる


彼女が駆けた後に残されたのは、神の力を奪われた光の精霊達の姿だったが、その精霊たちも主を残して蜘蛛の子を散らすように飛び去っていく


彼女は『剣星竜の剣』の能力『斬りたいと望むものだけを斬る』力で神の力のみを両断したのだ


そして奪った神の力『神力』を『魔導力』そして『神』で高めた『気』の力を合わせて練り上げる


『神・合力』を得た彼女の姿は神々しい光を放ち、更なる速さをもって天使たちを切り伏せていった




「白玲の奴やるじゃないか」


「さてと、あたいも負けちゃいられないね!」


『ライゾーにいいとこ見せないと!』


『イブ 魔導アーム起動頼むよ!』


『了解しました 魔導アーム『千手観音』起動』


メイザースの協力で制御術式の改良に成功した魔導アームは『千手観音』へとアップグレードされた


千の盾が亜空間より現れる


「お前たちやっておしまい!」


どこかで聞いたようなセリフに従って、千の盾は天使たちに襲い掛かる


固定用スパイクで串刺しするのかと思いきや、シールドバッシュで1000体の天使たちを地面に叩き落としていく




「『クオン・ディフェンス・フォース』の初仕事だよ!」


「あんたたちも気合入れな!」


「「「「「サー イエス サー!」」」」」


その声は、『量産型魔導外骨格』に身を包み、盾と槍を装備した『賢者の国』国民の中から選ばれたの精鋭たちの声だった


「自分たちの国を自分たちで守りたい!」


生きる希望を取り戻した獣人族達、そして『全ての種族との共存』を掲げる『賢者の国』に共感し移住してきた様々な種族の者たちは、『賢者』バベルにそう打ち明けた


「分かりました、あなた達の思いは私たちの用意できる最高の装備で叶えられるでしょう!」


こうして、『賢者の国』初の精鋭防衛部隊『クオン・ディフェンス・フォース』(略称K.D.F)が誕生したのだ!




地面に叩き落とされながらも、天使たちは光系上位魔法を放ってくる


「総員盾構え!」


1000人のK.D.Fは、鏡のように輝く盾を素早く構える


天使たちの魔法は、盾によって跳ね返される



『リフレクト・ミラーシールド』 『賢者』と『大魔導士』共同プロディースの対天使用の盾


天使たちが使う魔法はこの盾によってほぼ無効化できる



「エンジェル・ピアッサー構え!」


「突けぇ!」


自分たちの攻撃が跳ね返され戸惑う天使たちに、次々と槍が突き刺さる


「ぐあぁぁぁ!」


「何だっ!これは?」


「力がぁ吸い取られるぅ!」



エンジェル天使をピアッサー貫く者』こちらも『賢者』と『大魔導士』共同プロディースの対天使用の槍


この世界の武器では傷つけられないはずの天使を貫き、神の力を奪い取り『魔導外骨格』に取り込んでしまう


天使にとっては天敵とも言える槍である




なぜこのような武器が開発できたのか?


それは、『賢者の国討伐連合軍』との戦いで、クリスによって封印された大天使を、『賢者』と『大魔導士』の最強頭脳タッグが、いじくり、こねくりまわした成果なのだ!(゜д゜)!


これにより、天使たちが使う攻撃をすべて白状させ、神の力を解析できた


天使たちは元は光の精霊だったと言う事実も判明


『情報は力なり!』


まさに雷蔵の言うとおりである!




「私も負けていられませんね」


「エレメンタルフォース・ドラゴン」


ジスレアが、杖に『合力』を流し込むと、魔力結晶が光り輝く


そして、火・水・土・風の力が巨大な竜の姿と成す


「竜たちよ、天使を飲み込み己が糧とせよ!」


4体の巨竜が、次々に天使たちを飲み込んでいく


竜たちは天使を飲み込む度に、その大きさを、強さを増していくのだった


尻尾の辺りからから光の粒が出ていくが、決してうんちではない!


光の精霊たちなのだ!




クリスはご機嫌だった


「ジャッジメント・ファイアジェイル」


「ジャッジメント・ウォータージェイル」


「ジャッジメント・ウィンドボルテックスジェイル」


「ジャッジメント・ロック・レストレイント」


巨大な結界で天使たちを閉じ込め


炎で焼き


水圧で押しつぶし


風の渦でかき回し


最後は、超高密度・超重量の枷を嵌め、地面へと墜落させていく




「賢者の癒し手を怒らせると、世界が亡びる」


賢者が世紀末を到来を告げる予言者のような顔つきで、国民たちに告げていたあの言葉


普段あんなに素敵な笑顔を浮かべ優しい彼女の姿を見ている国民たちは、今まで信じていなかった


だが、映像投影魔道具が映し出す天使たちの阿鼻叫喚を観て


『賢者様の言葉は本当だった』


そう確信した!(゜д゜)!




半殺しどころか9割殺しで息も絶え絶えの天使たちを、K.D.Fの『エンジェル・ピアッサー』が無慈悲に貫き、力を奪い去っていく


天使たちの力を奪うごとに、量産型であるはずの彼らの『魔導外骨格』は神々しい輝きを放ち始めていた




魔王バルバールも新必殺技を駆使して奮闘していた


「魔導・魔王ウィ~ング!」


黒翼族であるバルバールは自慢の羽を広げる、出し入れ自由なのだ!便利!


『量産型魔導外骨格』の装甲に覆われた翼は『合力』で強化され鋭い刃と化す


大魔導士メイザースが生み出した『浮遊石』の力で強化された飛行能力で天使の軍勢へと飛び込む


『エンジェル・ピアッサー』と同様の効果を得たその角は、天使を突き刺し天使の力を奪い


その翼は天使を切り裂いていく


「魔導・魔王バースト!」


『合力』を超圧縮し、開放した力を全身から放出する


『魔王』の身体であるからこそ、その衝撃に耐えられるのだ


天使たちは『魔王』からほとばしる猛烈な力に耐えられず、吹き飛ばされ地上へと落下していく


地面に激突した天使たちには、K.D.Fの『エンジェル・ピアッサー』に力を奪われると言う末路が待っていた




「自慢の手下どもは、もうすぐ全滅するんじゃないか?」


挑発的な雷蔵の言葉に


「本当に私を怒らせてしまいましたね!」


え!今までもブチ切れてらしたような気がしますが・・・




この言葉が、神が切り札を切る合図となった!


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