第8話 魔造人間は忍術を試す(後編)


「今の音の速さ超えてませんでした!?」


「よく分らんが、走り出してすぐ、デカい音がして、鎌鼬みたいなのがぶつかってきたな」


「それ衝撃波ですよ、音速を超えると発生します」


「前世では、あんなデカい音や衝撃波?は出てなかったな」


「やはりこの体はすごいな」


改めて自身が転生するにあたって器となった『魔造人間』の能力に感嘆する




「しかし、音速が出ていた割には、止まる際には静かでしたねぇ?」


「びっくりして結界張ってしまいましたが、そよ風ひとつ当たりませんでしたよ」


「ああ、出たし失敗したからな」


「止まるときは、風の性質で練った気で膜を作って音と衝撃波を包み込んでみた」


(あの一瞬で術を調節しただってぇ!? なんたる才能!!! これは凄い逸材ですよぉ!)


26代目は、雷蔵のその驚くべき素質に絶句してしまった


と、同時に、雷蔵の将来性に胸が高鳴り、心の中で不思議な踊りを踊っていた


ホムンクルスは感情の起伏は極端に少ないはずなのにもかかわらずだ・・・




他にも、炎玉の術


「ああ、これは魔法で言うところのファイヤーボールですね」 


「ん?なんだかすごく大きいような・・・」 


「ぐはぁ!爆発したぁ!ってこれエクスプロージョンじゃないですか、前もって言ってくださいよぉ」


「いや、前は爆ぜたりはしなかったんだがな、何故だ?」




水龍撃の術: 


「うむ、ウォーターボールですな、龍の姿がカッコイイですねぇ、男の浪漫ってやつを感じますよぉ」




土遁の術: 


「ん?ライゾーどこに行きました?」


「おおぉ! 一瞬にして地面の中に隠れましたか」


「私に全く気配を感じさせないとは」




鎌鼬の術: 


「ウインドカッターですね!」


「あのぉ、私の横をすれすれに飛ばすの辞めてもらえます?」


26代目にすごい睨まれた、そして怒られた




雷縛りの術: 


「おお!スタンですね しかし範囲が通常の魔法より格段に広い」


「かなり威力を落とさないと、相手は死んじゃいますけど~」


不殺の術は、威力の調整が難しい、前世の体との違いを踏まえて再調整が必要なようだ


まぁ魔物が対象で倒すのが前提であれば、このままでも問題ないどころか、かなり有効な術である 


万が一、出力不足で仕留め損なっても、マヒ状態で戦闘不能にできるのだから




「一通りはこんな感じですか?」


「今のは第1段階で6段階まで威力を高めることが出来る」


今まで見せた術は、第1番目のチャクラで練った気を使っていた、チャクラは第7番目まであり、上位のチャクラで気を練るほどに技の威力が格段に増していき、より高度な術が発動可能となる


雷蔵は前世で第6番目のチャクラまで開放していた


禁術を使うときには第7番目まで開放していたのだが、本人もこれには気づいていないようだ


「今日は、このくらいにしときましょうか ははは」




(本人もどのくらいの威力が出るか分からないのは危険です)


(さっきの鎌鼬の術なんて私の結界切り裂いてましたよ!?)


(あやうく死ぬとこですよぉ)




「じゃあ、最後に試してみていいか」


「な、なにをするきですか?汗」


「折角、気と魔力使えるようになっただろ?」


「気と魔力を練って忍術使ってみたらどうだろうと思ってな」


「やってみてもいいか?」


「それ、明日でもいいですか?」


「心の準備的に!」


(あと結界強化の魔道具を用意しないと!)


(下手をすると死んでしまいます)


26代目のかなり必死な懇願に、雷蔵は少しばかり残念ではあったが、しぶしぶ了承したのだった




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