第8話 不思議の国のアリス~別れ~

「ほら着いたよ」


チェシャ猫さんと一緒に森を40分歩いてやっと森を抜けると綺麗なお城が立っていた。


「じゃあ、僕が案内するのはここまでだから、ここから先は一人で行って」

「え、チェシャ猫さんは来ないの?」

「僕はあのお城好きじゃないんだ、偉そうなのがいるし」

「そっか、バイバイ」


僕はチェシャ猫さんに手をふってお城へ向かった。

しばらく歩いていると白い服にハートやスペードのマークがついた服にトランプのペンダントを付けた人たちが何かをしているのが見える。


「何をしているの?」

「赤いバラを植えたつもりたったんだけど、間違えて白いバラを植えてしまったんだ、だからこうしてペンキでごまかそうとしてるだよ」


トランプの人達はせっせとペンキでバラを塗っている。

するとそこに王様がきた。

王様は若く王様というよりも王子様ぐらいに見える。

王様がバラを見ると白いバラが見えていて赤いペンキが乾いてなくてポタポタと垂れていてすぐに分かった。


「コイツらの首をはねろ!」


そう大声でいうとトランプの人達は家来に連れて行かれてしまいました。


「あ"?見ない顔だな、名はなんては何て言うんだ?」

「アリス・クロリア、です」

「アリス?聞いたことがない、お前さては、迷い人だな」

「はい…」


怖くて、どうしても顔をあげられない。


「そうか、お前クロッケーは出来るのか?」

「はい、できます。」


それを聞いた王様はクロッケーの出来る庭へに連れていき、一緒にすることになった。

クロッケー場に着くとそこにはスノーがいた。

僕と目が合うとびっくりしたような顔をし、


「どうしたの?なんで王様と一緒に‥?」

「色々あって、クロッケーをすることになっちゃったんだ」

「仕方ない、なるべく王様を怒らせないようにね」

「うん」


スノーと話終え、クロッケーをしようと道具をもらったけど、槌の代わりにフラミンゴ、ボールの代わりにハリネズミを渡された。当然上手くいくわけがなく下手な僕を見て王様はイライラしてきました。


「もういいっ!今度はアリスを裁判にかける!」

「えっ!?」


僕は王様の言ったことが一瞬理解できなかった。


「僕は何も悪いことなんてしてません!!」

「俺のイチゴタルトを食べたのはお前だろう!!」

「僕はイチゴタルトなんて知らない!」

「うるさい!コイツの首をはねろ!!」


家来達は僕を捕まえようと追いかけてきた。

捕まらないように僕は走り出し、お城をぬけ、森の中に逃げ込むと、誰かに腕を捕まれた。


「っ!!?誰っ!?」

「しぃー」

目の前にいたのはスノーだった。


「今からアリスを元の世界に返してあげる」

「え!嫌だよ!僕まだ全然スノーと話してないよ!」

「うん、でももう帰らないといけないんだ」

「なんでっ…」


自然と涙が出てくる。

まだ会ったばっかりなのに、もうさよならなんて…


「アリス…」


スノーが悲しそうな声で僕の名前を呼ぶ。


「やだよぉ…まだ一緒がいい…」


スノーを離さないようスノーの服を掴み、子どもみたいに泣く僕。


「アリス、ありがとう」


スノーは僕に短いキスをし、僕を優しく突き飛ばした。

それと同時に僕は光に包まれて…


「ス、ノー…」



目が覚めると僕はお兄さんの隣で寝ていた。


「アリス、やっと起きたのか?もう夕方だぞ」

「すいません、お兄様」


お兄様が自分の部屋に戻っていくのを見ながらさっき見ていた夢を思い出す。


「スノー、またいつか会えるよね」


そう呟きながら、僕は自分の部屋に戻った。






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BL童話集 苺色 アリア @Itigoiromaria

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