第16話A-7猫の子を拾ってきた

 突然だが、私に猫の気持ちはわからない。


チリンッ


 何を当たり前のことを思うかもしれないが聞いて欲しい。


チリンッ


 まずクミが猫の子を拾ってきた。


チリンッ


 それはいい。


チリンッ


 しかし、主人も席を外し当のクミもいない。

 こんな不安な状況で尻尾を振るほど私もウソつきになった覚えはない。


チリンッ


 ただ私の後ろにその仔猫がいた。


チリンッ


 その仔猫が遊ぶのだ。


チリンッ


 仕方ないから私も付き合ってゆっくり目先にフラフラとしっぽを揺らしてやる。


「にゃん」


 あ、コラやめろ!

 勢いをつけて仔猫が私のしっぽに組みついた。

 その結果、、、

「何してんの?ソロ」

 タイミング悪いな!何だってこんな時に帰ってくるんだクミ!

 仔猫は私の背中に乗っかりその上寝てしまった。

 しかし、居心地がいいらしくぴくりとも動かない。

 動いてくれない。

 どうやら寝つきはいいようだ。

 私の背中に乗っかったままの仔猫は静かにしっぽを揺らしては「にゃん」と寝言をいっていた。

「そっか。寂しかったんだね」

 まさかとは思うが猫の言葉もわかるのか?

「こういうの、何ていうんだっけ?マルチリンガル?」

 いや、違うと思うぞ?

 それは多言語話者だ。

 いくら指定がないとはいえ、流石に人間に限るだろ。

 誰が人間と犬と猫となんて分け方するんだよ?

 あと隠していることはないか?

「胸くらい?」

 隠せとらん!

 それで隠しているつもりなのか?

「ダメ?」

 何かもやもやするな。

「ソロのエッチ」


 仕方がなかろう!

 そんな立派なものを見せられては!

「何だ?興味あんの?「くぅ〜ん」

「こら、クミちゃんソロいぢめちゃダメだよ?」

「別にいぢめてないよ?ねーソロ?」

 しゅ、主人たすけ、、

「にゃ」

 何の騒ぎですか?


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