恋に生き、恋に殺されるという宿命を背負った、女性たちの恋の短編集。
一人の少女は、親友の恋人に恋をして、瞳の色が藤色になった。そして、恋をすることによって、自身が魔女となったことを自覚するのだった。この作中の「魔女」とは人間の突然変異種で、普通に人間として過ごしていた女性が恋をした瞬間に魔女になる、後天的なものなのだ。その恋の証として、魔女の証として、瞳の色が藤色に染まる。それ以外は外見的に変わらないので、周囲にはカラコンで隠すこともできる。つまり魔女になっても、普通の生活が送れる。
しかし、一筋縄ではいかないのが、魔女の恋。魔女となった者は、自分が恋した人間が死なないと、死ねない。つまり、恋人が死ねば魔女も死ぬ。そして、だからこそ魔女の恋心は嫉妬深くなる。相手を疑って、追い詰めてしまう。
タグには「魔女」や「魔法」とありますが、異類婚譚を拝読しているというよりも、人間と人間の純粋な恋愛譚として拝読しました。
短編集ですので、時間がなくても拝読できます。
短編ながら、魔女となった女性たちの愛の深さと人間らしさに、心惹かれます。
是非、御一読ください。