第7話

 1ヶ月後




 意識が朦朧とする中、ある声によって目覚めさせられた。




「雄二さん! 今日はデートですよ。早く行きましょ!」




 そう。こいつは1ヶ月前に俺の彼女だ。


 普通なら彼女とデート。やった!で終わるがこの場合そうではない。


 遥華は少し特殊で何故か1日1回はデートをしなければならない。


 説明書にそう書いてあったが、やぶればどうなるんだろうか?


 まぁ、その所為で俺の体ばボロボロだ。


 数日前のデートでアスレチックに行ったら、次の日は筋肉痛で痛かった。けどそこじゃない。


 驚いたことに遥華は筋肉痛を感じず、転けて擦り剥けても痛くないと言い張る。


 一瞬、こいつ人間か?なんて思ったりもした。


 まぁ、そんな事はどうでもいい。


 兎に角俺は決心した。


 今日はデートに行かない!




 人には忘れたい記憶、そうでない記憶がある。


 それを錠剤やチップにしたもの「メモリーチップ」というものがある。


 コンビニはスーパーなどでも売っているが、専門の店へ行けば、デートや結婚式などと言った大事な記憶がある。


 それを使って俺は1日休む。絶対に!




「遥華!」


「なんですか、雄二さん?」


「デートに行く前にこれを飲んでくれ」




 そう言って俺は、錠剤型のメモリーチップを渡した。




「最近、外食ばっかでちゃんと栄養取れてないからビタミン剤だよ」


「私のことを心配してくださるなんて、ありがとうございます。それじゃあ、頂きます」




 ゴクン


 よし、飲んだ。あとは確認するだけだ。




「あ〜、今日のデート楽しかったな!」


「・・・・・・」




 まさか、失敗した?




「お、おーい」




「・・・そうですね!また、明日も連れて行って下さいね」




 やった!これで、1日休める。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る