“理性は水溶性らしく、――”文中に出てきたこの言い回しで完全に引き込まれました。まだ「第一話 におい」までしか読んでいませんが、この物語を紡ぐ言葉の交錯がとても心地好く、どんどん頁を捲ってしまいそうです。――この後捲りますが。風景の描写、人物の描写、動きの描写、心情の描写。これらを表現する語彙に、そして物語の持つ“うねり”に圧倒されます。言葉が、物語が真に好きでなければ書けない、正に珠玉。
主人公の視点から語られる世界は、主人公の妄想か、それとも現実か、読んでいるこちらもわからなくなってしまいます。それでいながら圧倒的な文章力によって作品に引き込まれてしまいました。ちょっとエロチックなのも好き!