第6話 また呪い
「思いっきり呪われてますね、この城。いやな魔力を感じます。」
北の森の呪われた洞窟に行く途中、
「ロアン、早く結婚資金を手に入れに行きたいよ。それに城の中にカエルならまだしも、金髪碧眼の王子が眠っていたらどうするんだい?かかわりたくないんだけど。」
「姫様、アルバート様は金髪碧眼アレルギーですね。」
ロアンは笑いながらソフィアに言うが、笑い事じゃないよ!
「アルバート、私の好みは黒髪で黒い目のアルバートっていう名前なんだよ。」
ソフィアの一言に、僕はなぜだか急に呪いで困っている人たちを助けてあげたい気になった。
二人を振り返り、キリっとした顔を作って宣言する。
「呪いで困っている人を見捨ててはいけない。助けに行こう。」
しかし、このギッチリしている蔦をどうしたらいいんだろう。城に入れない。
「ロアン、魔法で何とかならない?燃やしちゃうとか。」
「今まで申しておりませんでしたが、私、魔力が極端に少ないのです。焚火に火をつけるとか、ちょっとしたけがを治すとか、他の道具でなんとかなるくらいの魔法しか使えません。」
「偽物カエルを消してたじゃないか。」
「あれは剣でやっつけた方が早かったと思いますが、生き物なのでありったけの魔力を使って別空間に飛ばしたのです。大変疲れました。」
三人がかりで剪定バサミでパチンパチンと蔦を切っていく。
丸一日かかって、ようやく小さなくぐり戸部分の蔦を切断することができた。
ロアンの魔法ではなく、ソフィアがヘアピンで戸を開ける。
姫のスキルとしてどうなのか。助かったけど。
城の中は物音一つしないで、しんとしている。
人も動物もいるが、目を開けたまま動かない。
「これは……。時が止まっていますね。」
何だろう。どうしてこんな……怖い。
眠っている金髪碧眼王子はいなくてホッとしたけど、王様と王妃様らしき人は玉座に座ったままピクリともしない。
ちょっと残念なことに金目のものは壁や床にピッタリくっついていて、持ち出せそうにない。
ソフィアは壁の絵を眺めていたが、諦めたように言う。
「これは、私たちでは何の手助けもできないようだ。近くの領主にでも話を聞こう。」
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