第5話 呪いの後で
バーンと何かが吹き飛んだような大きな音と共に扉が開き、王様やロアンや大勢の人がなだれ込んでくる。
「やったか!ロアン、アルバート殿は成功したのか?」
「上手くいったようです、王様。正式な手順だったようで呪いは解けております。アルバート様!」
ロアンが僕を抱き起してくれる。
何かわからないが、周囲でお祭り騒ぎが始まっている。
「ありがとうございます。しかもこんな短時間で。ああ、実は姫様には魔王の呪いがかけられておりました。十八歳の誕生日に永遠の眠りにつくことになっていたのです。ただ運命の王子に口づけしていただければ、簡単に呪いは解けるのです。しかし、その王子はカエルにされており、呪いを解きに来ることはできないと魔王は私達をあざ笑っておりました。姫様はカエル王子を見つけて、眠る自分のそばに置いておけばと作戦を立てまして。池や沼の
「なぜ教えてくれなかったのですか、ロアン!死にそうな気分でした。」
「申し訳ありません、アルバート様。呪いのことは、カエル王子であるアルバート様にはお教えできない制約がありました。ですので姫様と踊っていただき、好感度を上げるようにいたしました。上手くいきましたでしょう?」
「口づけしなかったら、どうするつもりだったのですか!」
「大丈夫です。あの時のアルバート様のカエルの呪いは、半分しか解けておりませんでした。姫様の手に必ず口づけをされると思っておりましたので、その流れで口の方も…。」
「すべて計略通りというわけですか。」
「はい、それにカエルの呪いを残しておかないと、眠りの呪いがアルバート様を眠らせてしまう恐れがありました。先にかかった呪いが優先されますので。」
「生贄って言ってませんでしたか?」
「今まで当然姫様の夫のなりてはなく、いつしかカエル王子のことを生贄と呼ぶようになってしまいまして。」
「王様、申し訳ないとか、よろしく頼むというのは…。」
「あれはアルバート殿に選択の余地がなく、ソフィアの相手になってもらって申し訳ない、娘を頼む、という意味だ。」
なんて知略と行動力なんだ。僕がかなうはずはない。
「ああ、うるさいな、もう呪いは破られたのか?」
ソフィアが眠い目をこすりながらといった様子で起きてきた。
「私はどれほど眠っていた?」
「約二時間です。」
「はぁ、もうひと眠りしたい。」
「ロアン、これで呪いはすべて解けたのでしょうね。」
「はい、次のスケジュールはお二人の婚礼の儀式です。異存はありませんね。」
「はい、その儀式には異存ありません…。」
ほっとして脱力している僕に王様はもう一つ難題を持ち掛けてきた。
「おっと、まだ言わなくてはならないことがあった。その…結婚式についてだが、アルバート殿、実はこの国の財政は破綻しかかっておる。式の費用をまかなうため、北の森の呪いの洞窟にあるという金銀財宝を手に入れてきてくれんか。宝は確実に存在するが、帰って来た者がいないのだ。よろしく頼む。」
どれだけ呪われているんだ!王様、僕、騙されてませんよね?
僕とソフィアとロアンは結婚式の費用を手に入れるべく、旅立つことになった。
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