第4話 いざ、出陣…。
「大変お待たせしました。こちらに。」
ロアンが儀式の間に案内してくれる。不安で胸が押しつぶされそうになる。
僕はどうすればいいのだろう。魔法も使えないし、剣も…。
というか、丸腰だし。
ただ、生贄としておとなしく食べられてしまえばいいのか。
もう一度カエルになるとか…。それならできそうだ。
さっきまで少し聞こえたざわめきが聞こえなくなる。
静まり返った廊下に、小走りの二人の足音だけが響く。
「この突き当りの扉の中です。大変申し訳ありません、私、は、もう、…。」
ロアンがその場に崩れ落ちる。
城の人やロアンに、儀式にかかわる魔法の力が働きだしたのか…。
「私のことは構わ……で、早く儀式を…。」
僕はうなずくと扉まで走り、中に飛び込んだ。
大きな礼拝堂のような部屋の中には祭壇があり、その前にはソフィアが捧げもののように横たわっている。
「ソフィア、しっかり!」
走り寄って体を揺するが、ぐったりとしたまま。眠っているのか……。
これは、眠りの呪い…。
わかった!僕の役目が。簡単な事じゃないか。
眠れる姫君を口づけで起こす役。
僕をカエルから人間に戻してくれたソフィアの運命の相手は……僕。
僕は、彼女を隅にあった長椅子に移すために抱き上げた。
僕は全く眠くないが、あまり力が入らない。
そういえばソフィアの手に口づけしていないから、カエルの呪いがまだ残っているのか。
このままソフィアに口づければ正解なのか、カエルの呪いを解いてからでなければならないのか、どちらだ…。
カエルの呪いをまず解こう。
そして、スッキリしたところで急いで口づけすることにしよう。
「僕を選んでくれてありがとう。とってもうれしかったよ。」
彼女の手を取り口づけする。僕の心に残っていたカエルの呪いのカケラが、砕け散っていく。
そのとたん、強烈な睡魔が襲ってくるのを感じた。目を開けていられない…。
最後の力を振り絞って、ソフィアに口づける。
僕はその場で意識を失った。
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