第2話 儀式の生贄
「ソフィア様、この恩はどのようにお返ししたらよいのかわかりません。」
「ソフィアでよい、アルバート。礼には及ばぬ。さっそくだがわが城に一緒に来て欲しい。馬には乗れるか?」
「たしなみ程度にしか…。随分長いことカエルでおりましたので。」
ソフィアに名前を呼んでもらうだけでもうれしいのに、彼女は自分の鞍の前に僕を引っ張り上げてくれた。
ああ、こんな幸せな日が来るなんて。生きててよかった。
ソフィアのためなら王子として生きられなくても、彼女のために何でもしよう。
城に到着すると、王様、お妃さま、大臣、騎士たちをはじめ城中の人達が大歓迎して出迎えてくれる。
なぜだ、少し前までカエルだった僕を…。
王様がニコニコと進み出て、僕にすべてを理解させる言葉を投げつけた。
「儀式の
ああ、なるほど。そういう事か。この城では儀式の生贄に王子が必要なのか。
だから後腐れのないカエル王子の僕が必要だったのか…。
ロアンが僕を客間に案内しながら手短に説明してくれた。
「儀式につきましては、アルバート様には何もお話しすることはできません。ですが、これだけは……。姫様とご自分を信じてください。明日は私の指示に従っていただきますが、本日はお部屋から出ないように。後で食事をお持ちいたします。」
僕を部屋に入れると彼は、あっという間にいなくなってしまった。
カエルだったからといって虫を出されることもなく、人間用の美味しい夕食を頂き一息入れていると、王様とお妃さまがわざわざ部屋に出向いて下さった。
「今回のこと、アルバート殿には本当に申し訳なく思っている。儀式は明日だがよろしく頼む。」
できればどうやって振舞ったらいいのか聞きたかったが、僕は短く答えただけだった。
「はい、お任せ下さい。」
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