現代病床雨月物語 第二十六話 秋山 雪舟(作)
秋山 雪舟
「二〇一八年『太陽の塔』近くで 起きた不可思議な体験」
二〇一八年の「大阪北部地震」の前日の体調変化は「第十八話」で報告していますが実は、その同じ年の十二月にも今までに一度も体験したことのない不可思議な体調の変化を経験しました。
話は昔に戻りますが私は若い頃、思春期の中学生の頃から洋楽(海外の音楽)に関心がありました。私の周りの同じ世代の人達は、実際に洋楽を演奏したり、そのグループやボーカルの人を詳しく知ろうと熱を帯びていました。洋楽について自分自信の意見や感想を持っていました。私の知識や考えはそんな同世代の男女の足元にも及びませんでした。当時の私はあまり深くは考えずただ自分の気分や感覚で「感じるだけ」であり自分の感性のままに好ましいと思う洋楽の音楽をジャンルを問わず題名も気にせずただ聴いているだけでした。気持ちが楽になる感覚的なものでした。(これは現在でも変わりません。)
その中にはビートルズやエルビス・プレスリーやディープ・パープルやクィーンやジョージ・ベンソンやアバやチャク・マンジョーネやジェフ・チィジックやイーグルス等を聴いていました。ビートルズは何となく優等生のようでした。エルビスは少しおっさんくさいと思っていました。特に自分の感性で「乗りのいい、リズムの良いもの」が好きでした。ディープ・パープルの「ブラック・ナイト」「スモーク・オン・ザ・ウォーター」やクィーンの「ウィ・ウィル・ロック・ユー」「レディオ・ガガ」等が好きでした。
人間とは不思議なものでいくら月日が経ってもこの思春期の音楽は洋邦を問わず今でも聴き続けているのです。私の亡くなった父も機嫌のいい時は決まって「三橋美智也」を聴いて歌っていた記憶があります。
二〇一八年に、クィーンの音楽が映画になり映画鑑賞した人達の評判が良いので時間があれば観たいと思っていました。たまたま十二月に時間が出来たので末っ子の小雪にクィーンの「ボヘミアン・ラプソディ」を一緒に観に行かないかと誘うと小雪が行くと言ってくれました。彼女がスマートホンで映画館と上映予定時間を調べてくれました。そうすると『太陽の塔』に一番近いショピング・モール内の映画館で上映しているのが解かり十二月の日曜日に朝から家族四人で出かけました。妻(宝雪)と長女(美雪)はショピングをするので別れ私と末っ子(小雪)の二人で映画館に行きました。私達二人は早く行ったつもりでしたがチケット売り場にはすでに行列が出来ていました。そして私達の少し後で朝一番の上映時間のチケットが売り切れになってしまいました。二人で間に合ってよかったなあと喜んでいました。席はスクリーンに向かって後ろの方の中央からやや右よりのところでした。オープニングの製作映画会社のタイトル音楽からクィーン化していて「これは何なんだ」と思っていました。そして映画が始まり十分ほど経過した頃に体に変化が起こりました。なんと左の目からだけ涙が出てくるのです。またそれをハンカチで拭けども一向に涙が止まりません。結局最後のエンド・ロールでやっと涙が止まりました。右側に座っていた末っ子(小雪)に、「お父さん左目からだけ涙が出て止まらんかった。こんなん今までで初めての経験や。映画も良かったな」と伝えました。末っ子(小雪)に映画の感想を聞きました。彼女は良かったと応えました。(彼女はその後、一人で値段の高額な高音響版の指定席を予約してもう一度映画を観ました。)
その日、家に帰った私は「片目から涙」を調べてみました。一説では喜びや悲しみなど揺れ動く感情によって涙を流す動物は人間だけであり、脳科学では涙を流す事が最高のストレス解消法であると書かれていました。一般的に右目から多く出るのがうれし涙。左から多く出るのが悲し涙と書かれていました。
他の一説では、右目から涙が出る意味は罪悪感や自分へのいつわり、自分を押し殺しているときに出る。左目から涙が出る意味は罪悪感や感情の解放である。どちらからといえば、左目から涙が出るのは、うれし涙とか、ほっと安心したときなどと書かれていました。
私にはどちらが本当か解かりません。ただこの映画を観るまでクィーンが他のミュージシャンとどこかが違うと感じていた私は、これでその謎が少し解けたと感じました。フレディーは愛を追求し。また自分の心と対峙しながら孤独と闘い続けていたのです。その中から数々の曲が生まれたと思っています。彼は死しても人々を感動させているのです。彼は今でもあの世で作詞・作曲をしていることでしょう。
現代病床雨月物語 第二十六話 秋山 雪舟(作) 秋山 雪舟 @kaku2018
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