第16話 おわりに

僕は決して天皇のために「死のう」とは思いませんでした。


何とかしてアメリカから「自分の大好きな生まれ故郷を守りたい」と言う気持ちで自分の命をかけて戦いました。


今、皆さんの住んでいる日本という国はそうした何百万人という人たちの犠牲の上に成り立っています。


一番の青春時代であった15歳の時に戦争と言う大きな波の中で生きてきた僕は大好きな音楽を捨てて「敵と戦う」ことに全力を尽くしたのです。


今、若い人たちはいじめで学校へ行かない人や自殺をする人が増えています。


どうか、お父さんお母さんにいただいた命を決して無駄にしないでください。


僕の時代は「生きたくても死ななけければならない時代」でした。


そんな時代に生きた僕から見れば命を粗末にすることがどんなに「もったいない」かと思ってしまいます。


また「生きる目標」をしっかりと持ってください。


僕には「音楽がしたい」と言うはっきりとした目標がありましたから戦争で一時あきらめかけましたが、今ではピアノの調律の仕事をしています。


つまり、諦めずに一生懸命夢に向かって生きたから夢が叶ったのです。


今ではいろんな道が開けています。


野球選手、歌手、サッカー選手、お医者さん、パイロット・・・何でも自分の好きな道、やりたい道を一生懸命探して努力してください。


そしてたくさんの兵隊さんが命をかけて守ったこの日本を素晴らしい国にしていってください。


心からお願いします。


僕は今90歳です。


そんな皆さんにバトンタッチします。

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