第4話 「可愛さは未確認!」
うちの学校はラブコメ的なイベントの発生率がかなり高い。
今まで幾多のイベントを経験してきた俺が言うのだから間違いないはずだ。
そんなわけで、ちょっとやちょっとのラブコメ展開には動じなくなっていた俺だったが、この間の昼田さんの件以来、少しばかり調子が狂ってしまっている。
今日も朝からなんだかぼーっとしていた。
「うっす、おはよー未来」
「あ、ああ、おはよう」
「何だー?どうかしたのか、そんなにびっくりして」
「あー、いや、なんでもないよ」
「ふーん。また昼田先輩のことでも考えてるのかと思ったけど違ったか-」
「そ、そんなわけないだろー」
「ナハハハ!…っておい、あそこにいるのってもしかして!」
悠太がまるで未確認生物でも見つけたかのような反応をしている。
俺もその正体が気にならずにはいられず、悠太の目線の先を追う。
そのまま隣のクラスの前の廊下に視線を向けると、そこには想像を絶する光景が広がっていた。
「なあ悠太、あれは一体…」
「あれは、あの人は、我が学年一の美少女と言われている
悠太が興奮混じりに教えてくれた園岡恵実という名前。
毎日のように誰かが彼女に告白をしたという話を耳にしていたので、俺もその名前は何度も聞いたことがある。
しかし、こうして実際に本人を見たのは今日が初めてである。
「あの人が園岡さん…?」
「ああ、そうだよ」
長袖セーラー服の袖口から少しだけ見えているかわいらしい小さな手。
白色のハイソックスとも違和感なくマッチしている色白のきれいな脚。
そして、身長およそ150cmという絶妙な低身長。
正直言って雰囲気だけでもとんでもない可愛さだ。
顔はここからだとよく見えないが、きっと想像できないぐらいに可愛いのだろう。
「ゆ、悠太…。あれは可愛さの暴力だろ…」
「お、もしかしてお前もあの子に惚れちまったのかー?」
「お前『も』ってことは、悠太は園岡さんが好きなのか?」
「もちろん大好きに決まってるじゃないか!ファンクラブにも入ってるしな」
「ファンクラブまであるのかよ。まるでアイドルかなんかみたいだな」
「うちの学校のアイドルみたいなもんだから、あながち間違いでもないかもな」
「へぇー。ちなみに園岡さんは隣のクラスなのか?」
「そうだぜ。気になるなら見に行って来いよ」
こうして、俺は突然俺の前に現れた(これは単に俺が今まで意識してなかっただけだが)園岡恵実という少女について知るべく、隣のクラスへと乗り込むことになった。
学園ラブコメに届かない! 飛鳥 未知琉 @kurikinton_v
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