第3話「昼田依沙実の正体」

いやぁ、それにしても昨日のあれは一体何だったんだ?

昼田さんみたいなかわいらしい女の子がどうして俺なんかに勉強を教わりたいなんて言ってきたんだろう。

わからん。

このガリ勉オタク、国近未来の明晰な頭脳を駆使してもその答えには辿り着けなかった。

「おい、未来!あれって、昼田先輩じゃね?」

「え、お前もしかして昼田さんと知り合いなの?」

「何言ってるんだよ。あの昼田依沙実だぞ?知らないわけがないじゃないか!父親はあの名門校、飛ノ森高校の学長にして、グローバルスクールプロジェクトという今最も注目を集めているプロジェクトの会長を務める昼田聡。さらにさらに、母親はそのプロジェクトの秘書にして、10カ国語を使いこなすあのスーパーエリート語学者の昼田眞莉愛なんだとか。それでもって彼女自身もこの学校の生徒会長っていうんだからこの学校で彼女のことを知らない人なんていないってもんだぜ」

待て待て、いろいろ情報が多すぎて整理しきれない。

まず、昼田さんが先輩だったということ自体を今初めて知った。

それに、昼田さんの両親のことだ。

勉強しかしない俺でも聞いたことがあるグローバルスクールプロジェクトという名前。

世界各国の学校同士の交流を活発にし、国際化が進む現代に必要となる能力を育むことを目的とするプロジェクトで、数々の大企業がこのプロジェクトを支援していると聞いたことがある。

両親がそんなプロジェクトのトップだなんてただ者じゃない。

だがやはり一番気になるのは、そんなすごい人が何で俺のことを知っていたのか、ということだが…。

「おい、未来どうしたんだー?さっきからぼーっとして」

「悪い、少し考え事をしてた。なあ、悠太、昼田先輩が俺のことを知ってるなんてことがあると思うか?」

「いや、ないだろ。ありえん」

「そこまで言わなくてもいいじゃんかよー」

でもその通りなんだよな。

ほんと、わけがわからねえ。

でも、昼田さん可愛かったからまあいいや。

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